平成27325

第189回国会 厚生労働委員会 第4号

○角田委員 次に、生活保護についてお伺いいたします。

 生活保護に関しては、住宅扶助基準、冬季加算の見直しなどが行われますが、この中で、場合によっては転居も伴うことになるという点から影響が大きい住宅扶助の見直しについて、確認の意味で質問させていただきたいと思います。

 住宅扶助の上限額については、その範囲内で借りられる住宅の割合に全国的にばらつきがあることから、調整を図り、七月から、見直しされた上限額が施行される予定となっておりますが、現在、住宅扶助を受けている方への影響、上限額が引き上げになるところはほとんど影響はないと思いますが、主に都市部は引き下げとなるところが多いようでありますが、影響を受けるのはどの程度になるのか。全国で、例えば単身世帯で引き下げとなる市町村はどの程度あるのかということについて、まずお伺いをいたします。

○鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 住宅扶助の上限額でございますけれども、これは、各都道府県の一級地、二級地、三級地別、それから指定都市別、中核市別、合計百五十八の地域区分で設定をいたしております。

 見直し後の額につきましてですが、現在精査を行っているところでございますけれども、今お尋ねございました単身世帯の住宅扶助の上限額、これが減額となる地域は、百五十八地域のうち五十六地域となる見込みでございます。

○角田委員 今回の住宅扶助の見直しに当たっては、居住の安定に配慮した経過措置として、住宅扶助上限額の減額の適用を次の契約更新時まで猶予するというふうにしておりますが、家賃が見直し上限額を超えている場合は、次の契約更新時期に大家さんが家賃値下げに応じてくれなければ、上限額以内の新しい住まいを探さなければならないということになります。

 現在、保護を受けている方の中でも、特に高齢者や障害者にとっては、新しい引っ越し先を探すのも極めて困難な方が多くいらっしゃいます。この点について、転居が困難なやむを得ない理由がある場合には見直し前の額を適用するということですが、具体的にその対象となるのはどのような方なのか、確認をさせていただきたいと思います。

○鈴木政府参考人 今般の住宅扶助基準の見直しによりまして、現在の家賃が基準額を超える場合、これは、今御指摘ございましたように、見直し後の基準額の適用を契約更新時まで猶予する。そして、家賃の引き下げが困難な場合につきましては、上限額以内の住宅に転居、これについて助言、指導を行うということでございます。

 その際、今御指摘ございましたように、御本人の意思や生活状況を丁寧に確認することといたしております。具体的には、傷病や障害によります通院や通所の状況がどうなっているのか、それから就労や就学の状況がどうなっているのか、そして高齢者の場合の生活状況あるいは地域の支援状況、こういったものを丁寧に確認いたしまして、現に入居している住宅に引き続き住み続けることがその世帯の自立を助長する観点から必要である、こういうふうに認められる場合につきましては、引き下げ前の額を適用する、こういう措置を講じることを検討しているところでございます。

 七月から施行でございますので、自治体がこういった生活状況を丁寧に把握いたしまして必要な措置を講じることで、生活に支障がないように徹底をしていきたいというふうに考えております。

○角田委員 今回の基準額の見直しによって転居しなければならなくなる方も、そもそも本人には何の落ち度もないわけですね。福祉事務所などから、この金額の範囲で家を探すように言われて、そのとおりに自分で物件を探して住んでいるわけであります。中には、保護を受けるに当たって、住んでいる部屋の家賃が上限を上回っているという理由で、上限額におさまる物件を新たに探して、住みなれた地域から引っ越して、ようやく落ちついて今生活しているという方もいらっしゃいます。

 住み続けられる配慮はやはり極力なされるべきだと思っていますが、ただいま言ったような配慮に関する実際の運用が市町村によって差が出てくるようでは、かえって混乱を招くのではないかと危惧しています。

 これから構築しようとする地域包括ケアシステムでも、かなめとなるのは、地域での生活の拠点となる住まいであると思います。特に、要介護、要支援者が住みなれた地域で自立した日常生活を継続することができるように、要介護状態にならないようにする予防や、要介護状態の軽減もしくは悪化の防止のためにも、まずは居住の安定が大前提になると思います。

 せめて要支援、要介護の高齢者や障害者世帯については、住み続けられるよう配慮をお願いしたいと思いますが、この点について見解があればお伺いしたいと思います。

○鈴木政府参考人 ただいま御指摘ございましたように、高齢者の方々、特に要介護あるいは要支援の方々につきましては、その生活状況、それから地域におきます支援体制の状況、そういったものを丁寧に確認して、生活に支障が出ることがないように徹底をしてまいりたいというふうに考えております。

○角田委員 ありがとうございました。