平成27310

第189回国会 予算委員会第四分科会

 

○角田分科員 文化財保護についてお伺いをいたします。

 これは昨年のことなんですけれども、私の地元で、過去の調査で学術的にも極めて重要とされていた縄文時代の貝塚のある大型環状集落の遺跡が、民間の宅地開発によって損壊されてしまったという出来事がございました。

 開発に係る事前審査の申請が提出された段階で、市の確認調査で、環状集落の一部を構成する遺構、遺物が多数出土し、状態も良好であったことから、文化財保護法に基づき、記録保存のための発掘調査を開発業者側に指示いたしましたが、業者は発掘調査の費用負担を拒否して、最終的に調査が行われないまま工事着手され、貴重な遺跡が失われてしまったという出来事がございました。

 現行の文化財保護法は、どこまでが事業者が負担すべき費用なのか、明確な基準がありません。さらに、開発業者が発掘調査の指示に従わなかったとしても罰則などもないことから、結局、それ以上の遺跡保存のための手だてというものがなかったために、貴重な遺跡が失われることになってしまったわけです。

 これは、平成十一年の地方分権一括法による保護法改正で、埋蔵文化財行政が基本的に地方公共団体の自治事務となって、運用に当たる地方公共団体、このケースでは市でありますけれども、保護法の曖昧さ、限界に苦慮している現状があると思います。

 埋蔵文化財は国民共有の財産であることに鑑み、費用負担のあり方の明確化や、より実効性のあるものとするために、発掘費用に対する補助など財政的な支援の充実ということも必要だと考えますが、この点についての御見解をお伺いできればと思います。

○有松政府参考人 先生御指摘のように、文化財保護法上、埋蔵文化財の件でございますけれども、埋蔵文化財に係る業務は地方公共団体が行うというふうにされているところでございます。

 したがって、開発事業に伴って、埋蔵文化財の記録作成のための発掘の調査というものは、当該事業者によります費用負担のもとに主に地方公共団体が担って、それに対して、国は、開発事業者が零細の場合など一定の場合に経費の一部を補助しているところでございます。

 先生が挙げられました海老ケ作貝塚の件につきましては、この経費負担をめぐりまして、開発事業者と船橋市との調整がうまくいかず、結果として、発掘調査が行われることなく遺構が破壊されてしまったということはまことに遺憾なことだと考えております。

 文化庁としては、今後このようなことが決して起きることのないよう、先ほど申し上げました開発事業者の費用に対する国庫補助をしておるわけでございますが、この国庫補助の充実を含めまして、埋蔵文化財調査に係る地方公共団体への支援の充実に努めてまいりたいと考えております。

○角田分科員 ぜひともその方向でお願いしたいと思います。

 時間がないので、最後に一問だけ、教育施設の耐震化ということについてお伺いをします。

 ここでは、公立の小中学校に比べておくれている幼稚園の耐震化について伺いますが、幼稚園の耐震化率は、平成二十六年四月現在の実績値ですけれども、公立八三%、私立で八一%、低い水準にとどまっております。

 そうした観点も含めて質問しますが、平成二十七年度から子ども・子育て支援新制度が本格スタートするのに伴って、認定こども園に対する給付については一本化されますが、施設の耐震化に対する支援はどのようになるのか。現状、幼稚園の耐震化に対しては、公立と私立、別々の枠組みで助成が行われておりますが、これらが認定こども園に対してはどのようになるのかという点についてお伺いをさせていただきたいと思います。

○関政府参考人 認定こども園の耐震化でございますが、公立幼稚園から移行した認定こども園につきましては、学校教育に必要な施設整備について国庫補助、保育に必要な施設整備について地方公共団体の一般財源を措置することにより、それぞれ支援をしておりまして、設置者である地方公共団体において、これらの財源を一体的に活用して、認定こども園全体の耐震対策を行うことが可能でございます。

 平成二十七年度からの子ども・子育て新制度のもと、幼保連携型認定こども園については制度に変更が加えられますが、引き続き、従来のこの仕組みを引き継ぐ形で支援を継続することとしておりまして、認定こども園全体として耐震化を推進してまいります。

 また、私立幼稚園から移行した認定こども園の耐震化につきましては、平成二十七年度からは、安心こども基金に加えまして、都道府県に対し認定こども園施設整備費交付金を交付し、設置者の取り組みを支援していくこととしておりますが、引き続き、厚生労働省の交付金と申請時期等のスケジュールを合わせるなど、耐震対策を一体的に行うことができるよう配慮して、認定こども園全体として耐震化を推進してまいりたいと考えております。

○角田分科員 認定こども園の耐震化も含めて、進めやすい仕組みづくりを目指していただきたいと要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。