平成27310

第189回国会 予算委員会第四分科会

福祉系高校について質問させていただきます。

 介護の分野での人材確保というのは、これから地域包括ケアシステムを構築していく上でも非常に重要な課題でございます。

 介護職員は、介護保険制度がスタートした二〇〇〇年度は五十五万人だったものが、現在は推計で百七十万人前後。今後も高齢化の進展に伴って必要な職員数は増加をして、十年後には二百四十万人程度と、現在よりも七十万人程度ふやす必要があるとされています。

 ここでは、介護職の中でも中核的な役割を担う介護福祉士の学校での養成ということに関してお伺いしたいと思います。

 介護福祉士の資格取得法については、現在、実務経験ルート、それから養成施設ルート、そして福祉系高校ルートの三つのルートがあります。

 各ルートの資格取得者の数を見ますと、平成二十五年度では、実務経験ルートが約八万七千人、養成施設ルートが一万三千人、福祉系高校ルートが三千人となっておりますが、ここでは、そのうちの福祉系高校について。

 平成二十五年度における福祉系高校の学校数は全国で百十五校ありまして、定員は四千百三十六人、これに対して入学者数は三千三百五十二人と、定員に対する充足率は八割程度となっております。

 この数字からも、介護分野での人材確保のためには、働く場としての魅力アップのための取り組みを今後さらに進めなければならないと思いますが、まず、介護福祉士の養成、人材確保のために福祉系高校が果たしている役割について、文科省としてはどのように評価をされているか、お伺いしたいと思います。

○小松政府参考人 介護福祉士につきましては、その職務の内容、性格上、福祉系の高校が持っている役割は大変重要で、意義が深いものというふうに考えております。

○角田分科員 この福祉系高校には、現在、特例高校と言われるものも含まれております。いわゆる通信教育による養成を行っていた高校ですが、平成十九年の介護福祉士法改正で介護福祉士養成は対面の授業を原則とすることとされ、時限措置として、平成二十五年度までの入学生に限り、卒業後に実務研修を受けた場合に国家試験の受験資格が得られますが、この特例校を卒業して福祉関係に就職する生徒の割合は六五%から七〇%と高くて、国家試験合格率も、平成二十五年度は八八・一%、全体の合格率六四・六%を大きく上回っております。

 特例高校の多くは存続を希望しているわけですけれども、介護福祉士を確保する上でも養成コースの一つとして存続を考えるべきではないかと考えますが、この点について御見解をお伺いしたいと思います。

○小松政府参考人 御指摘のとおり、平成十九年の法改正でカリキュラムが見直されましたので、介護福祉士の国家試験受験資格云々に、必要な時間数等、大幅な増加があった次第でございます。福祉系高校の中でこのカリキュラム実施が直ちには困難であるという学校につきましては、経過措置として特例高校というものに位置づけられたわけでございます。

 この経過措置は平成二十五年度入学者までで終了するというのは、これは制度の方の要請でございましたので、そのようになっているわけでございますけれども、厚生労働省の社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会から、ことしの二月、先月でございますけれども、出た報告書によりますと、介護福祉士の育成機会を維持するという観点から、平成二十八年度から平成三十年度までの入学者を対象として、時限的な措置として再実施するという方向が示されているところでございまして、厚生労働省において所要の法律改正が検討されているというふうに承知をいたしております。

 こういうところを踏まえまして、文部科学省としても再実施の実現には協力をしてまいりたいという方針でございます。

○角田分科員 それと、もう一つ、福祉系高校に関してなんですけれども、この福祉系高校で養成する側、すなわち教員の資格についてお伺いします。

 これも介護福祉士法改正に伴うものですが、特定の科目を教えるためには、福祉の教員免許状に加えて、介護福祉士や保健師、看護師等の資格を有し、五年以上の実務経験が要件として加えられました。特別措置として、介護福祉士等の資格にかわる講習や五年以上の実務経験にかわる研修を受ければ要件を満たすものとみなすという取り扱いが行われてきましたが、それも二十五年度までで、現在は行われておりません。

 教員免許を有し、かつ有資格者であり、五年以上の実務経験を有する人材の確保というものは極めて困難な状況から、現場からは資格代替講習の復活などを求める声も上がっております。教員の確保ができなければ、福祉系高校は存続ができず、介護の人材確保のルートが一つ失われてしまうということになります。この点についてぜひとも対策を講ずるべきと考えますけれども、文科省のお考えをお伺いしたいと思います。

○小松政府参考人 委員御指摘の点は、福祉系高校において介護福祉基礎等の科目を担当される教員にかかわることと考えますが、この科目を担当する先生のうちお一人は、幾つかの条件の中に介護福祉士等の資格を有していることというのが入っているわけでございます。

 これにつきましては、文部科学省、厚生労働省の共同省令によりまして、社会福祉士介護福祉士学校指定規則の中で、平成二十五年度までの経過措置として、先ほどお話のございました文部科学省が行う講習会を修了した場合に介護福祉士の資格を有する者とみなされるという形をとってきたわけでございますが、この経過措置の期間が満了しておりますので、現在はこの講習会は実施されていないところでございます。

 先ほど、もう一つ前の御質問で私の方から言及いたしました先月の社会保障審議会の専門委員会の報告書の中で、この点につきましては、現場から、現在の教員要件を全て満たす教員の確保は困難であるという意見を踏まえて、今後の介護福祉士のあり方等に係る検討の中で、福祉系高校の教員要件のあり方について検討を行うという方針が出されております。

 文部科学省といたしましても、この動きを踏まえながら、福祉系高校の先生方が適切に確保されるように協力してまいりたいという考え方でございます。