平成25年第3回定例会-0910

◆角田秀穂 議員 では、1番目の障害者グループホーム等の法律上の取り扱いについて。具体的には、建築基準法上のグループホームの取り扱いについてということで質問させていただきたいと思います。

 障害者が地域で暮らし続けるために、整備の要望の強いグループホーム。一口にグループホームと言いましても、アパート型の比較的大きなものや、公営住宅の一部を利用したものなど、いろいろな形態がありますが、ここでは特に戸建て住宅を利用した利用定員45人程度の小規模な障害者グループホームについて取り上げたいと思います。

 戸建て住宅型のグループホームは、アパート型の規模の大きなグループホームに比べ、一つ屋根の下で、必要な援助を受けながらではありますが、利用者同士が一緒に食事をしたり、団らんのひとときを過ごしたりと、家庭的な雰囲気の中で暮らすことができる。また、既存の戸建て住宅を活用したグループホームの場合、多くは町なかに既にありますから、必然的にその地域の一員として暮らしていくことにもなります。

 このような小規模なグループホームは親の高齢化を初めとして、さまざまな理由で家族と一緒に暮らしていくことが困難となった障害者にとってもなじみやすい住まいの形態ではないかと思いますし、少なくとも暮らしの場の選択肢の1つとして積極的に整備が図られるべきものと考えておりますが、本市においてはこの整備というものが進んでおりません。

 グループホームの整備については、3年前にも、平成22年の3定でも取り上げましたが、この際、福祉部局のほうからは、今後も障害者の方々の地域移行を推進するため、グループホームの整備を推進していきたいが、既存の戸建て住宅を小規模グループホームに転用するには、建築基準法上、寄宿舎扱いとする解釈がなされており、改修が必要になることから整備が進んでいないとの回答でありました。今議会でも、先番議員に対する質問に対してもやはり同様な、進んでいないというご回答でした。

 そこで、今回は建築部に対してお伺をいさせていただきたいと思いますが、まず初めに、グループホームの建築基準法の用途については、現在法律上に明確な規定がなく、取り扱いは行政庁の判断に委ねられていると思います。すなわち、船橋市内のグループホームの取り扱いは船橋市が判断することになると思います。前回質問した際に、この点について柔軟な対応を要望させていただきましたけれども、現状どのように取り扱っているのか、お伺いしたいと思います。

     [建築部長登壇]

 

◎建築部長(豊田博史) お答えいたします。

戸建て型グループホームの建築基準法上の現状の取り扱いはとのご質問ですが、食堂、便所、浴室等が1カ所または数カ所に集中して設けられるなど、利用形態から住宅より寄宿舎として類似していること、また、安全、防災、防火上の視点からも、現在でも寄宿舎として扱っております。この取り扱いですが、平成243月の日本建築行政会議の報告において、戸建て住宅を転用したグループホームのみを異なる扱いとせず、戸建て型グループホームは寄宿舎としてみなすことが適切であるとの見解が出されております。船橋においても寄宿舎として取り扱っているところでございます。

 以上でございます。

     [角田秀穂議員登壇]

 

◆角田秀穂 議員  ただいまの建築部長のご答弁の中で、確認のために改めてお伺いしたいと思いますが、戸建て型グループホームを寄宿舎として取り扱う理由の1つとして、日本建築行政会議の報告というものを挙げられましたけれども、そもそもこの報告自体に法律のような強制力や拘束力があるのかどうか。確認の意味でお伺をいさせていただきたいと思います。

     [建築部長登壇]

 

◎建築部長(豊田博史) お答えいたします。

日本建築行政会議の報告に対する質問ですが、この会議は全国の特定行政庁、指定確認検査機関及び建築主事、確認検査員などが情報交換を行い、審査の適正化、円滑化を図るため、審査等に係る法令の解釈、運用方針を明確化することで、公共の福祉増進を図ることを目的にした組織でございます。

 以上でございます。

     [角田秀穂議員登壇]

 

◆角田秀穂 議員  今、ちょっと確認をさせていただきましたけれども、あくまでも今、障害者グループホームの用途の判断については、あくまでも行政庁がするということをあくまでも押さえた上で、以下、ちょっと長くなるかもしれませんけれども、思うところを述べさせていただいて、質問をさらにさせていただきたいと思うものですけれども、そもそもかつては戸建て型の障害者グループホームというのは既存の住宅をそのままグループホームとして使っているケースがほとんどでした。これは全国的なことであります。それが数年前から寄宿舎として取り扱うという流れになってきたことによって、既存戸建て住宅のグループホームへの転用が全く進まなくなってしまっているという現状が、船橋市でも当然あるわけであります。

 既存の戸建て住宅を障害者グループホームに転用する場合に、この建築基準法の用途を寄宿舎として扱うことは、主要な壁は準耐火構造で天井裏まで仕切らなければならないであるとか、また、廊下の幅は1メートル20センチ以上など、通常の住宅用途では求められない規定を満足することが求められるようになってきます。既存の住宅でこのような条件を満たす適当な物件というのは、まずありません。したがって、大規模な改修が必要となり、事実上、既存住宅をグループホームに転用するということを不可能にしてしまっています。

 障害者グループホームをつくりたくても、町なかに開設することはできず、市街化調整区域など郊外にアパート型のような比較的規模の大きな施設を新設せざるを得ない。結果として、障害者総合支援法、また、その前身である障害者自立支援法の目指す、施設から地域へという大きな目標とは全く逆の方向に、現状は進もうとしております。

 そもそもグループホームをめぐる取り扱いは、認知症高齢者グループホームの火災を契機に、建築、消防等の協議というものが強く求められるようになってきて、その中で多くの自治体が規模の大小にかかわらず一律に共同住宅、寄宿舎としてグループホームを取り扱うという流れが主流となってきたと、そういう背景があります。言うまでもなく、認知症と知的障害というのは違います。違うものを一緒くたに取り扱っていることが混乱の大きな要因ではないかというふうに思っております。もちろん、とうとい人命を守るために防火安全体制の確保は大事なことであると思います。ただ、規模の大小にかかわらず、一律の取り扱いをすることで、結果として障害者の暮らしの場を奪っているということについては、これはぜひとも見直しをすべきだと考えます。

それまで法令に適合し、適法だということで普通に人が暮らしていた一般の住宅が、そこに障害者が住むとなった途端に、現状はだめだと言われる。なぜ障害者は普通の家で暮らしてはいけないのでしょうか。現状の小規模も含めた一律の取り扱いは、他の住宅に比して、過度の規制であり、ある意味、結果として障害者に対する差別的な取り扱いとはなっていないでしょうか。

建築基準法の規定は、いざ火災が起きた際に少しでも延焼を食いとめて避難の時間を稼ぐ、また、少しでも避難しやすくするためのもので、この規定を満たしたからといって火災が起らないというわけでもなく、それのみでいざというとき障害者の安全が確保されるわけでもありません。火災を含めた非常災害時に備えた計画づくり、定期的な避難訓練の実施など、ソフト面の対策がしっかりできてこそ初めて防火安全体制の向上が図られるものであるとも思います。

 この点、障害者グループホームの指定を受けたところでは、市の条例規則で非常災害に関する具体的な計画づくりや定期的な避難訓練の実施などが義務づけられ、これについて福祉部局のチェックが入ることになります。また、グループホームであれば運営費に対する補助もありますから、それによって世話人の配置などが行われる。さらに、利用者に対する家賃の助成も市から行われ、経済的な負担の軽減も図られるということになります。

 既存の一般住宅を障害者グループホームにしたいのだけれども、建築基準法の求める要求は改修費用の面からも到底満たすことができない。さりとて、住む場所に困っている障害者を見捨ててもおけぬと、障害者とともに共同生活をしている方がこの船橋市にも現実にいらっしゃいます。このようなケースでは、実態はグループホームにもかかわらず、指定を受けられないために防火安全体制のチェックも入らなければ、利用者の家賃助成も受けられません。この方の場合は、障害者の支援に情熱を持っております。利用者の安全に対する行き届いた配慮はグループホームと変わるものではありませんが、今、脱法ハウスという言葉がマスコミで頻繁に取り上げられるようになっています。共同住宅の部屋などをさらに細かく仕切って、安い家賃で貸し出す商売が全国的にふえていると言われておりますが、消防法や建築基準法上のさまざまな問題が指摘されております。つい先週、いわゆるこの脱法ハウスについては、国土交通省が寄宿舎として取り扱うよう通知を出したところではありますが、無届けでこのようなことをやっている物件、案件について全て把握できるのかという疑問が残ります。

障害者グループホームは、障害者の命を守るためという名分のもとに、規模の大小にかかわらず、一律に共同住宅、寄宿舎とする取り扱いによって、地域でのグループホームの整備が一向に進まないがために、多くが低所得者である障害者がいわゆるこのような脱法ハウスのような問題を抱えるところにしか住まわざるを得ないということになったとしたら、そちらのほうがよほど危ういことであるし、本末転倒であると言わざるを得ません。

 今、福島県では、平成217月から戸建て住宅をグループホーム等に活用する場合、2階建て以下、延べ床面積200平方メートル未満の建物については、一定の要件を満たせば住宅として取り扱うこととしました。このための要件は幾つかありますが、要するに違法建築物でない限り、住宅として取り扱うということにいたしました。また、ことしに入って鳥取県でも、2階建て以下、延べ床面積200平方メートル未満の既存住宅を障害者グループホームに転用する場合、一定の要件を満たせば住宅とするように取り扱いを改めました。

 鳥取県の場合は、福島県の要件に加えて全室で火気の使用がないことという要件が加えられておりますが、簡単に言えば、台所のガスコンロを電磁調理器に変えればオーケーですよということであります。これには県の補助制度が利用できますので、要する費用というものは微々たるもので済むということであります。

 この福島県、鳥取県に伺って、建築、福祉それぞれの担当者の方からお話を伺いましたが、平成21年から既存住宅のグループホーム転用の場合、住宅としての取り扱いを行ってきた福島県の場合、これは途中から、その後、日本建築行政会議が小規模な戸建て住宅を転用・利用する場合を含め、原則寄宿舎として取り扱うという検討結果報告が行われておりますが、この報告を踏まえて取り扱いを見直す考えはありますかという私の質問に対して、建築部局の担当者の方は、即座に、見直す考えはありません、そんなことをしたら障害者の行き場がなくなってしまいますとおっしゃっておられました。建築基準法上の要求を満たすことも大事ですが、日ごろからの避難訓練の実施や地域の支援も大事な要素ですと。安全確保のための管理運営については福祉のほうが条例に基づいてチェックしています、それによって防火安全体制の確保も図られていますというようなお話をされておりました。

 一方、鳥取県の建築部局の担当者の方のお話ですけれども、その方に言わせれば、福祉部局が何と言おうと、血のつながっていない者同士が一緒に生活をする家というのは、建築の立場から言わせてもらえば寄宿舎なんですよと。ただ、だけれども、障害者が地域で暮らすために小規模なものまで一律に寄宿舎として取り扱うことが本当に必要なのかどうかを、関係する部局が一堂に会して検討を行った結果、小規模な既存住宅の転用については住宅として取り扱うとの結論に達したというふうにおっしゃっておられました。

 この検討の過程では、関係部局による連絡会議を設けて、県内グループホームの4割に当たる55の施設に立入調査なども実施して、具体的にどうすれば防火安全対策が確保できるか、議論がされました。幾つもの疑問が提示をされ、建築、福祉、消防の各部局で対策が検討をされました。ガスコンロを電磁調理器に変えるというのもその1つであります。最後に幾つか残った懸念については、そこについては福祉がしっかり指導するということで住宅として取り扱うことで差し支えないとの結論に達したと伺いました。

 ここに共通するのは、障害者が地域で安心して安全に暮らせるために、真に必要なことは何なのかを関係部局が集まって検討した、そして、そのような視点で検討したところは同じような結論に達しているということであります。

 そこで提案をさせていただきますが、本市においても建築、福祉、それから消防など、関係部局による障害者グループホームに関する情報の共有、それから検討の場を設けて、障害者基本法の理念、障害者総合支援法の理念、共生社会の実現、地域社会における共生、社会的障壁の除去との理念や、そもそも障害者グループホームの持つ特殊性も踏まえた上で、今の一律の取り扱いが本当に必要不可欠なものなのかどうか。小規模なものについては住宅として取り扱うとした場合、管理運用面も含めてどのような防火安全対策が必要になるのかということについて、現場の実態調査も行いながら、ぜひとも前向きに検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

 これは建築部だけに係る話ではないので、建築部長がお答えが難しいということであれば、しかるべきお立場の方にご答弁いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

     [副市長登壇]

 

◎副市長(山口真矢)お答えをいたします。

議員のお話の中にもありましたけれども、ことし2月であったと思いますけれども、長崎県の、これは認知症高齢者のグループホームでしたけれども、大変痛ましい火災事故があったわけであります。認知症高齢者と障害者、確かに異なるわけでありますけれども、グループホームの安全性をしっかり確保するということはこれは大変大事なことだと思っております。したがいまして、建築基準法に基づく基準、日本建築行政会議の報告、これは事実上の基準ですけれども、これは基本的には尊重すべきものだと思っております。しかしながら、ご指摘のとおり、他方では市内には障害者グループホームの一層の整備を求める切実な声があるわけであります。

 こうした中で、市としてどのような最善の対応をとれるか、これはご指摘ありましたように、関係部局を挙げまして真剣に検討したいと思いますので、今しばらくお時間をいただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

     [角田秀穂議員登壇]

 

◆角田秀穂 議員  関係部局で検討をするということですので、その検討の状況をまた見守らせていただきたいと思います。

 今回、この質問をするに当たりまして、特に建築部の方ともさまざま意見の交換をさせていただきまして、私自身は本当によかったというふうに思っております。建築部の立場としては、やっぱり安全を守るためにしっかり法令を遵守するということが何よりも大事だということで仕事をされている、その立場は十分に理解できるものでありますが、これはやっぱり関係するその他の部局も同じ思いで何とか整備できないかということでやっておりますので、その中でお互いが知恵を出して考え合うことによって、新たな方策も見えてくるものと信じておりますので、しっかりと協議をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。