平成22年第3回定例会議録・第6日/4
○角田秀穂議員 初めに、障害者の就労支援と生活支援について。
これは何も障害のあるなしにかかわらず、どのような人にとっても共通することだと思いますが、誕生から乳幼児期、学齢期を経て社会に巣立ってからが人生
の本番であります。本市の障害者施策の計画においても、障害者の雇用、就業について、障害のある人がその適性に応じて働くことは、障害のある人の社会的自 立とともに社会参加のための重要な柱であり、自己実現を図る上で大変重要とした上で、障害のある人が住みなれた地域でその能力を最大限に発揮し働けるよ
う、その特性を踏まえた条件の整備を図ることが重要と記しております。これを踏まえて、住みなれた地域で能力を最大限に発揮して、働き続けられるための本 市の施策の現状について、幾つか質問をいたします。そして、障害者の就労と生活支援については、セットで論じるべきことと考えますので、ここで一括をして
質問をさせていただきたいと思います。
まず、就労について福祉部局に伺います。
主に知的障害者の就労について質問をいたしますが、障害者の一般就労に至るまでの道筋、一般就労の現状について、どのように把握をされているのか伺います。
さらに、福祉的就労も含めた現状についてはどのように把握をされているのか、また、今後の障害者の就労についての課題についてはどのようにとらえているのか、伺います。
福祉部局に対しましてはもう1点、地域での自立と生活の質を向上させるためにも重要な拠点となります知的障害者のグループホームの整備について、計画と現状について伺います。
次に、経済部に対して質問をしますが、商工振興課が行っている障害のある人を雇用をした事業主に対して、雇用促進奨励金を交付する事業について、交付実
績の推移、特に知的障害者を雇用した事業主に対する交付実績の推移について伺います。また、就労を希望する障害者からの相談は商工振興課にあるのかどうか についてもお伺いをいたします。
○福祉サービス部長(飯塚猛志) 障害者の就労支援と生活支援に関する所管事項について、4つほどご質問いただきましたので、順次お答えいたします。
まず初めに、知的障害者の一般就労までの道筋と現状についてでございますが、一般就労につきましては、市立特別支援学級からの職場実習を経て行う場合、
あと、1度は就労したが、諸般の事情から離職し再就職をされる場合、そして授産所等の福祉的就労から一般企業に就労するなど、さまざまな道筋がございま
す。
一般就労に関しましては、昨今の経済状況の悪化等から厳しい状況にございます。このような状況の中、昨年の11月に障害者就業生活支援センターが設置さ
れ、就職に向けた支援として就業のための基礎訓練の実施や就職に向けた準備等、また在職者に対する就業と生活の支援としましては、在職中の状況把握や、職 場、生活全般にかかわる相談の実施等を行っており、平成22年6月現在、9人の方が一般就労されました。また、市立特別支援学校からも数名の方が一般就労
されました。
次に、福祉的就労の現状ですが、市立特別支援学校を卒業した大部分の方は福祉的就労を希望されており、現状ではゆたか福祉苑や大久保学園等、就労先は確保されております。
次に、就労についての課題とのことですけども、一般就労につきましては、今後も厳しい状況が続くと予想される中で、就職先の確保や障害がある方への就労
を継続するためのさまざまな生活支援が必要であります。市としましては、_祿下埆_叛験荵抉腑札鵐拭爾鮹羶瓦法_柩僉∧欸髻_緡邸_軌蘚_隆愀元ヾ悗箸力_携により雇用の促進を図る必要があると考えております。そのため、障害者就業生活支援センターに対し、市の単独事業といたしまして、就労支援を1名増員で きるよう補助制度を今年度から創設したところでございます。
また、船橋市地域自立支援協議会の下に専門部会としまして、ハローワークや就業支援事業者などの関係機関による就労支援部会、これを組織しまして、障害
者の就労支援策についてご議論をいただき、就労支援の人材を育成するためのジョブサポーター研修の実施や、企業、就労支援事業者、行政などとの情報交換、 事例検討などを行っているところでございます。
そして、福祉的就労につきましては、今、福祉的就労の場が足りなくなることが想定されるところから、市としては市内の障害者施設、管理者の集まりであり
ます船橋障害者施設連絡協議会等、さまざまな機会をとらえまして、この現状を説明し、各法人や施設に定員増をお願いしているところでございます。
最後に、知的障害者のグループホームの整備の計画と現状でありますが、現在では市内に32カ所のグループホーム等があり、定員は136人となっております。今後も障害者の方々が地域移行を推進するため、グループホーム等の整備の推進に努めてまいりたいと考えております。
しかし、現在、既存住宅の障害者小規模グループホーム等への転用につきまして、建築基準法上、寄宿舎扱いするとの解釈がなされ、改修に費用がかかること
から、整備が停滞しております。過日、千葉県、千葉市、柏市及び船橋市の各障害福祉部門が出席する4県市会議において、施設の安全性を、これを確保を踏ま
えながら、建築行政部門に対して弾力的な取り扱いを申し入れしていくことで確認されました。これを踏まえまして、船橋市としましても、県内各市と足並みを そろえて、建築行政部門に対して申し入れを行っていく予定でございます。
長くなりましたが、以上でございます。
○経済部長(小川佳延) 障害者の就労支援のうち、所管事項についてお答えいたします。
障害者を雇用した事業主への雇用促進奨励金の交付実績ですが、平成19年度は雇用人数21人、178万2500円、平成20年度は14人、155万 5000円、平成21年度は15人、186万円となっており、このうち知的障害者を雇用した事業主への奨励金の交付実績は平成19年度、雇用人数14人、 133万3000円、平成20年度6人、82万1500円、平成21年度10人、131万7500円となっており、障害者を雇用した事業主への奨励金の約 40%が知的障害者を雇用した事業主への交付となっております。
次に、就労を希望する障害者からの相談が商工振興課のほうにあるかとのことでございますけども、そのような相談は経済部のほうでは受けておりません。
○角田秀穂議員 まず、障害者の就労について、福祉サービス部と経済部に質問をさせていただいたのは、障害者の就労を支援するために、個別に行われている
事務事業が果たして政策としてどうなのかという疑問を抱いたからであります。昨年の議会でも申し上げましたが、全国的に見ても特別支援学級、特別支援学校 に在籍する児童数が急増しております。特に在籍児童生徒の9割を占める知的障害と自閉症、情緒が急増しており、本市においても事情は同じで、この10年間
で在籍児童数は1.6倍、特別支援学校についても全く同じであり、この10年で小学部、中学部、高等部を合わせて約2倍に増加をしております。
こうした状況を考え合わせますと、今後在籍する子供たちの卒業後の就労支援ということが、本市においても極めて大きな課題になってくることは間違いない
ことであろうと指摘をさせていただきました。子供たちの卒業後の就職先、地域での居場所の確保ということは、現実に大きな課題になってきております。今、 知的障害者の職場開拓は専ら現場のスタッフの並々ならぬ努力によって行われているのが実情であります。障害者就業生活支援センターの担当者の方は、営業活
動と言っておりましたが、これは特別支援学校の就職担当者も同じで、新聞の折り込みの求人広告等を頼りに、何とか実習だけでも受け入れてもらえないかと、 何十社も訪問をしてお願いに回る中で、数少ない実習受け入れ先を見つけてくる。そして実習をする中で、この人なら雇ってもよいかということで、就労に結び
ついているケースが大半であります。
それに対して雇用促進奨励金交付事業の対象は、公共職業安定所による紹介と規定をされており、ハローワーク経由の採用でなければ対象にならないと規則で
定めております。障害者の雇用を促進するための事業であるならば、雇用促進奨励金事業のあり方も実態に合わせて見直すべきではないでしょうか。単に奨励金 制度見直しにとどまらず、一握りのスタッフのみに過度の負担がかかっている職場開拓についても、経済部として協力できることは考えれば幾らでもあると思い
ます。
課題は一般就労に限りません。いわゆる福祉的就労についても市内の地域活動支援センター等では満杯に近い状態であり、受け皿を市外に求めなければならない状況に立ち至っております。こうした実態を踏まえて、より踏み込んだ施策が打てないものか。例えば、職場開拓のために特別支援学校や就業生活支援セン
ター、さらには地域活動支援センター等と連携をとって、市内経済団体との橋渡しの役割を担う。雇用の経験のない事業主に対して、国・県・市の支援制度の説 明を初めさまざまな情報提供を行ったり、職場開拓に汗を流すスタッフのために、市内事業者に対するPRの場を設ける。実習受け入れや雇用に至らないまで も、地域活動支援センター、作業所等、福祉的就労の場の製品販売の場の確保であるとか、業務委託のあっせんなどなど、考えられることは幾らでもあるはずで
す。時代に合わせて、実態に合わせて、まずモデル事業として実施してもよいと思います。政策目標達成のために、限られた財源をどのように振り向けたらよい のか、ぜひ考えていただきたいと求めるものですが、いかがでしょうか。
それから、就労、生活支援について、少なくとも市がかかわっているサービスについては、ワンストップで利用できるようにしていただきたい。言うまでもなく、所管は行政側の都合で定めているものであり、当事者の利便のためではありません。特に障害者関係のサービスは窓口も多岐にわたっており、当事者のため
を考えるならば、もっともっと行政側が工夫すべきだろうと思います。
このことに関して、障害者の権利擁護、地域での自立した生活支援と密接にかかわる事柄として成年後見の問題があります。成年後見制度が認知されるに伴って、近年、この制度の利用がふえております。市長申し立てによる成年後見人の選任という事例も確実にふえております。特に高齢者の後見がふえていますが、
障害者にとっても地域での生活を支える上で極めて重要な制度であります。重要な制度なのですが、言ってみれば制度利用の需要に対して、後見人の供給が追い ついていないという問題が顕在化してきております。私自身、市内に住んでいらっしゃる方の後見人に選任されたという市外在住の方から相談を受けましたが、
市の福祉制度など、利用できるサービスを聞きに行ってもたらい回しにされる、施設一つ探すにも一々自分の目で確かめなければならない等々、お話を伺う中 で、これは一人で背負い込むのは無理だ、これでは後見人のなり手はふえないだろうという感想を抱きました。
特に船橋ほどの大規模な都市では、将来を見据えて、成年後見を受託するセンター、さらには成年後見人を支援するセンターというものがぜひとも必要だと考
えます。こうしたセンターの必要性については、行政内部でも検討をしているようですが、私からも早急につくっていただきたいと強く要望させていただきます。その上で、この点についてお考えをお聞きしたいと思います。
グループホームについてですが、建築基準法上の縛りによって整備がとまっているとのことですが、地域での生活を支えるこうした施設の整備が何とか進められ
ないものかと思います。現状では一般の一戸建て住宅をグループホームとして使おうとした場合、面積に関係なく、寄宿舎として扱われることになります。
寄宿舎としての要件を満たすためには、非常用照明の設置や避難のために外階段をつけなければならないとか、防火壁を設置しなければならない、廊下の幅は 1.2メートル以上だ、階段の幅は75センチ以上だ、などなど、大がかりな改造をしなければならないことになります。現実には、特に小規模の既存家屋をこのような要件に合うように改造することは、そもそも不可能であります。こうした事情から、本市においても全く進まない状況にあるわけですが、もちろん人命
を守るためこのような設備があるにこしたことはありませんが、ハンディを抱えている人はすべてこのような建物でなければ生活をすることができないとするな らば、障害者が地域で暮らすということ自体、極めて難しいことになってしまいます。
そもそも一戸建てのグループホームをすべて寄宿舎として取り扱うようになったのは、認知症高齢者の小規模グループホームの火災が契機と伺っております が、障害者の場合、障害程度がまちまちであることはもちろん、必要とする支援のニーズも千差万別です。認知症高齢者のグループホームに対する規制を、すべての障害者グループホームにも一律に適用することに現場を理解していないという批判もあります。特に小規模の障害者グループホームについて、その取り扱い
の判断は、船橋に開設しようとする場合は船橋市にゆだねられており、柔軟な対応をしようと思えば可能なはずですので、ぜひとも実態をよく把握した上で、グ ループホームが進むよう柔軟な対応をしていただきたい。これについては要望をさせていただきたいと思います。
○経済部長(小川佳延) 障害者の就労支援についての2問のうち、所管事項についてお答えいたします。
まず、障害者を雇用した事業主への雇用促進奨励金の交付要件についてでございますけども、確かに現行では議員言われるように、ハローワークのあっせんを
受けて雇用した場合のみが対象となっております。ただ、確かに雇用に至るまで、就労に至るまでには、ハローワークのあっせん以外の就労のほかに、民間の職 業紹介所によるものとか、あるいは事業主が独自に新聞の折り込み広告やホームページによって求人をして雇用をするというようなケースも当然あるものという
ふうに思っております。このような場合の障害者を雇用した事業主への助成につきましては、国の制度、これを参考にしながら他市の状況等を見て検討をしてまいりたいというふうに考えております。
次に、職場開拓において過度な負担がかかっている就職担当者への支援ということでございますけども、特別支援学校の就職担当者の方が、本当に特別なつて
も持たずに、多くの企業を訪問して、受け入れ企業開拓に大変ご苦労なさっているということは伺っております。このような状況を踏まえまして、障害者の就労 機会の創出が図られるよう、商工会議所や商工業団体に補助制度や障害者就労に係るさまざまな情報を提供してまいりたいと考えております。
また同時に、企業が障害者の雇用についてどのような考えを持っているのか、商工会議所や商工業団体からご意見を伺い、障害者の就労につながる、あるいは就職担当者の負担軽減につながる、そういった方策を検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○福祉サービス部長(飯塚猛志) 引き続きまして、障害者の就労支援と生活支援についての2問についてお答えします。
成年後見人を支援するセンターの必要性についてというご質問でございます。成年後見制度は、契約能力が十分とは言えない高齢者や障害のある方が地域で暮らすには不可欠な支援制度の1つであります。現在、後見人となる方は弁護士、司法書士、社会福祉士等の職業後見人や、高齢者のご家族、または障害者のご両 親と言った方が大半でございます。親が後見人の場合につきましては、死別により将来的には別の方に後見人をお願いする必要が出てきます。
また、議員ご指摘のとおり、成年後見制度の利用が増加することにより、成年後見人のなり手が不足するという課題もあります。これらの問題を解決するに、
一般の市民の方が成年後見人となる市民後見人を養成して、後見人のなり手をふやすことが必要であると考えておりますが、そのためには市民後見人の育成及び 業務遂行に当たりサポートする必要があります。
また、成年後見人につきましては、家庭裁判所が任命しますが、現在、市民後見人が後見業務を受任する場合は、後見監督人をつけることを求められます。そ
のため後見監督人となれる機関も必要となります。さらに複雑な事情により、個人としての市民後見人では対応が困難である場合は、成年後見人業務を行う法人 が必要になることも考えられます。これらのことから市民後見人の育成、サポート、後見監督人の受任及び困難事例に対応する法人後見の受任等を行う成年後見
支援センターの設置が必要であると考えます。
現在、本市においてどのような形態の成年後見支援センターが必要であるかを、船橋市地域自立支援協議会の下部組織であります権利擁護部会において、法律
専門家、実務において権利擁護を行っている方、市役所内の高齢者福祉、障害福祉、保健所の各部門で、平成21年度から7回の議論を行い、近く船橋市地域自 立支援協議会に報告する予定となっております。市としましては、この協議会からの提言を受けて、成年後見支援センターについて検討していきたいと考えております。