平成22年第2回定例会会議録(第3日・2)

●角田秀穂議員 初めに、リハビリについて。リハビリ病院と地域リハビリということについて、質問をしていきたいと思います。

 前回の議会で、介護の総点検を実施した結果をもとに、幾つか総論的に質問させていただきましたが、今議会ではその続編として、少し各論についても議論をしてまいりたいと思います。

  その1つとしてのリハビリについてですが、脳卒中などの疾患に対して、急性期から回復期にかけて集中的なリハビリを行い、後遺障害の軽減や寝たきりを防止 し、早期の社会復帰を図ることを目的に、平成20年4月に市立のリハビリテーション病院がオープンをしました。間もなく、200床すべての病床が稼働をし ようとしております。

 リハビリ病院の開院により、医療センターを初め、急性期の治療を担う病院から早期に集中的なリハビリへ移行するこ とが可能になったことにより、診療の効果も目に見えて向上しているようであります。例えば、開設した初年度の事業報告の中で入院患者の退院先を見まして も、自宅に復帰をした方の割合は全体で80.5%と、全国平均の69.8%を上回っております。特に、疾患の中でも最も多い脳血管疾患系で見た場合では、 全国平均の65.6%に対して81.0%と顕著な効果が見てとれます。また、疾患の発症から退院までの日数も、脳血管疾患系で全国平均125.2日に対し てリハビリ病院は105.8日と、早期の回復という点でも効果を上げているようであります。

 私自身、4月の終わりにリハビリ病院にお邪 魔をして、最近の状況について伺いましたが、自宅への復帰率の高さはその後も変わらないということ、また受け入れ患者数や訪問リハビリなども順調に伸びて いる等のお話を伺いました。リハビリ病院の関係者のご努力に敬意を表したいと思います。

 ここでは、リハビリ病院退院後も含む維持期、主に自宅に戻ってからのリハビリについて提案し、それに対する考えを聞いてまいりたいと思いますが、その前に、リハビリ病院の機能強化という視点から1点だけ質問をしたいと思います。

  これは、リハビリ病院に伺った際も病院側が強調されていたことですが、患者に対して質の高いサービスを提供するために重視していることとして、第1にチー ム力ということを強調されていました。すなわち、医師、看護師、ケースワーカー、PT・OT・ST等の療法士、さらには、ソーシャルワーカーが朝夕のミー ティング、入院時やその後の定期的なカンファレンスによって、おのおのが治療目標等の情報共有化を図っていることがこの病院の強みであるとおっしゃってお りました。

 このチーム力を維持し、さらに向上させる上で行政が考えてあげなければならないこととして、これはリハビリ病院建設の段階か ら考えておかなければいけないことであったかと思いますが、今でも間に合うと思いますので提案させていただきたいと思うものですけれども、リハビリ病院に 病院附属の保育所というものを_甬泙乏_澆靴討い燭世_燭い隼廚い泙后_o:p>

 チームとして患者にかかわっていることで目に見える成果を上げているリハビリ病院。その強みを最大限に発揮するためには、スタッフが長く働き続けられる環境を整えることが重要な課題となってきております。

  せっかく優秀なスタッフがチームに加わっても、また、リハビリ病院で経験を積んで優秀なチームの一員として成長しても、結婚して出産した、働き続けること ができないということでやめざるを得ないとしたら、チーム力の維持すらおぼつきません。特に本市の保育事情を考えた場合、優秀な人材に働き続けてもらう、 ひいては市民のためにより質の高いサービスを提供してもらうためにも、院内保育所の整備はぜひとも行ってもらいたいと考えるものであります。早急に、医療 の現場で働くスタッフのために、働き続けられる環境の整備、その第一歩として病院に附属する保育所の整備を求めるものでありますが、この点についてご答弁 いただきたいと思います。

 さて、本市のリハビリの現状を眺めた場合、急性期病院から回復期を受け持つリハビリ病院の連携については、非 常にうまくいっている。このことは、リハビリ病院開院以来の状況を伺う中でもよくわかりました。その一方で、維持期のリハビリ、特に退院後自宅に戻っての リハビリについては、まだまだ不十分な状況のようであります。リハビリ病院でも退院後のフォローアップについてもできる限り取り組んでいるものの、やはり 限界があるとのことでした。

 リハビリには多くの方がかかわりを持ちます。リハビリ担当の医師やかかりつけの医師、理学療法士や作業療法 士、言語聴覚士、ケアマネジャーを初めとする介護の関係者等々、リハビリ病院ではかかわりを持つ多くの職種の方々が文字どおり一つ屋根の下で小まめに連携 をとりながら目標を共有しながらリハビリに取り組んでいる。だから、効果も上がっている。その一方で、維持期のリハビリについては、そもそも市内にどれだ けの資源があるのか、足りているのか不足しているのかもよくわからないのが実態のようであります。地域のリハビリ充実に向けて、本市も協議会を立ち上げ議 論を重ねているようですので、まず、船橋市のリハビリの課題について現状どのように整理しているのかを1問目でお伺いしたいと思います。

健康部長(渡辺貴正) リハビリについてのご質問にお答えいたします。

 市立リハビリ病院の院内保育につきましては、同病院を運営 しています指定管理者側から、看護師等の確保のため保育施設を設置したいとの要望が寄せられております。しかしながら、同病院は市街化調整区域に設置され ており、現状では保育施設を建築する基準がないことから、関係部署に建築の可能性について検討を依頼しているところでございます。

 次 に、本市の地域リハビリテーションについてでございますが、急性期及び回復リハビリで改善した身体機能を低下させないよう、維持期において継続的かつ適切 なリハビリを提供していくことが重要であり、地域におけるかかりつけ医やケアマネジャー、介護職員等の関係者が同じ目標を持って患者に向き合うチームアプ ローチが可能となるよう、多職種間での連携体制の構築が極めて重要な課題であると認識をしております。

 このため、リハビリ関係者間の連 携の輪を広げるとともに、地域リハビリの重要性について意識の浸透を図ることが必要であると考えており、私どもで主催する地域リハビリテーション協議会で は、昨年より市内のリハビリ関係者を一堂に会した船橋市地域リハビリ研究大会を開催しております。

 また、関係者間の連携は市域全体だけ ではなく、それぞれの地域ごとに親密な連携を築くことも課題と考えており、行政コミュニティーごとに医療・介護関係者が集まる勉強会を開催するという新た な試みが、本年4月に北部地区において始まりました。今後は、先行して開始した地域におけるノウハウ等を活用しながら、こうした活動を全地域に展開してい くことが課題となっており、市としてもリーダーシップを発揮して、本市における地域リハビリテーションの推進を支援してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

●角田秀穂議員 まず、リハビリ病院の保育所についてなんですけれども、ただいま建築の 可能性について検討を依頼しているということですが、私、今お話伺って、現実には難しいようであります。理由は答弁の中にもありましたが、病院が市街化調 整区域に立地しているからとのことであります。

 都市計画法の34条において、市街化調整区域で許可される開発行為については厳しく制限 されており、法律に列挙されたもののほか、開発審査会で認められた行為以外は許可されないことになっている。そして、その開発審査会に付議できる開発行為 の要件については、船橋であるならば船橋市開発審査会提案基準というものがあって、どのような開発行為なら許可できるかを定めております。その基準の中に は、病院の看護師のための寮はあるけれども、病院で働く人のための保育所はないから許可できない。大体こんな理由で、保育所は難しいということになってい るようであります。

 ただ、これがよその土地にまいりますと、開発審査会提案基準の中に、病院の看護師寮に加えて病院に附属する保育施設 もオーケーとなっているところもあります。そこには、保育所の立地要件は当該施設の同一敷地内であること、ただし同一敷地内に設置が困難な場合は隣接地で あること、規模、構造設計等が当該施設の従事者の乳幼児のための保育施設として適切な施設であることなどの条件をつけて、設置が可能としているところもあ ります。寮は可能で保育所はだめだという船橋市の基準の考え方が、どうしても納得がいきません。

 そこの窓から看板が見えますけども、イ ケアというスウェーデン発祥の組み立て家具の会社があります。4年前に船橋に日本進出第1号店を開きました。この船橋店では、社員のための保育所を当初か ら計画に組み込んでおりました。船橋市に店を開くまで、世界34カ国に235の店舗を展開していますが、イケアが社員のための保育施設を店舗内に設けたの は、世界でも船橋店が初めてのことでありました。

 ではなぜ、イケアは日本進出1号店に保育所を設けたのか。これに対するイケア側の答え は、「日本の女性は結婚して子供を出産すると会社をやめてしまう。あるいは、やめざるを得ない。企業としては、多くの時間とお金をかけて育てた人材を失う のはもったいない」ということでありました。保育所を利用している社員に対するアンケート調査では、7割近くが、保育施設がなければイケアでは働かなかっ たと回答をしています。さらにいえば、その後、横浜や関西などで国内で店舗を展開しておりますが、企業内保育所をつくってはおりません。つくっているのは 船橋だけ。

 船橋は立派なリハビリ病院をつくりました。ただ、病院の施設自体はただの箱であり、今後問われるのはその中身であります。先 ほども申しましたが、病院というところは多くの職種・スタッフが、1人の患者にかかわります。治療の成果のよしあしは、そのスタッフのチームワークにか かってきます。そして、そのチームワークというものは、一朝一夕でできるものではありません。良質な医療サービスの提供、そのための働き続けられる環境の 整備ということ、これは病院のために言っていることではなく、市民のためという視点から申し上げていることであります。向かいの医療センターも、やはり今 のままではどうしようもないと思います。この点について、市長にもぜひとも積極的に考えていただきたい、これは要望させていただきます。

  さて、地域リハビリについて、かかりつけ医やケアマネ、介護職員等の連携体制構築が課題であるということについてですけれども、これに対しまして1つ提案 をさせていただきたいと思いますが、船橋市にはケア・リハビリセンターという立派な施設があります。もともと高齢者の福祉施設としてスタートしましたが、 平成10年の開設以来、利用者がなかなか伸びない、すなわち施設をつくった成果というものがなかなか見えてこない施設であります。立派な施設があり、しか も、保健師、理学療法士、作業療法士など専門職のスタッフが常にいるけれども、利用者の推移から見ても十分に活用されているとは言いがたい。

  その一方で、維持期のリハビリ資源が不足をしており、特にリハビリ病院ができて回復期までのリハビリの効果が目に見えて上がっている中で、在宅に戻ったら 十分なリハビリを受けられないため、せっかく回復をした機能が衰えてしまったということでは、関係者の苦労も報われないと思います。

 そこで、現在のケア・リハビリセンターを維持期のリハビリを担う中核施設として位置づけ、リハビリ病院と連携しながら維持期、在宅に戻って以降の地域でのリハビリシステム構築のために積極的に活用すべきだと考えますが、いかがでしょうか。

  その際、特に訪問リハの充実、とりわけ不足している脳梗塞による失語症などに対応できるよう、言語聴覚士によるリハビリの充実を図っていただきたい。社会 復帰のためにコミュニケーション能力ということも極めて重要ですが、現状このためのサービスというものが極めて不足をしております。

 もう1つには、メンタル面でのケアということにも重点を置いて取り組んでいただきたい。脳卒中を発症してうつ状態になることが多いといわれますが、特に在宅復帰後のリハビリでは極めて大事なことであるにもかかわらず、精神的な面でのケアが不十分になりがちであります。

 こうした面でも、関係者のサポート、情報発信をぜひとも行ってほしい。こうしたことを踏まえてのケア・リハビリセンターの目的の見直し、位置づけの見直しというものをぜひ行っていただきたいと思いますが、この点についてご見解をお伺いをしたいと思います。

福祉サービス部長(飯塚猛志)  まず、リハビリのところで、ケア・リハビリセンターのお話です。ケア・リハビリセンターを、地域でのリハビリシステムの構築のために積極的に活用すべきというご意見でした。

  ケアリハの機能強化につきましては、平成19年の終わりぐらいから健康福祉局内において検討してまいりました。この検討の中で、今後、本市における地域リ ハビリ体制の構築において、ケア・リハビリセンターも維持期のリハビリ施設として重要な役割を担っていくべきであり、また従来の事業のほかに診療所機能を 持たせて、指定管理により医療と介護保険の通所リハビリ、訪問リハビリなど一体的に展開してはどうかという将来像──構想ですね、これをまとめたところで ございます。今後、細部の組み立てを本格的に検討して進めていきたいと思っております。

 次に、ご指摘の言語聴覚士によるリハビリの充実、メンタル面でのケア、それとリハビリに関する相談や専門職への支援、ここら辺も視野に入れて研究を進めてまいりたいと今は思っております。

 

●角田秀穂議員 ケア・リハビリセンターについてですけれども、維持期の充実、リハビリ の充実のために、早急に構想の具体化を進めてもらいたいと思いますが、その際に、本市でこれも不足しております障害児・障害者のリハビリということにも、 ぜひ取り組んでいただきたいと思います。

 診療所を設置するということであるならば、リハビリとあわせて障害児・障害者の舗装具について も、医師の意見書から舗装具の調整等まで、ワンストップで必要なサービスを受けられるような施設にすることも可能であると思います。ぜひとも、船橋で不足 していますこうしたサービスも行えるよう、これも含めて早期の具体化を要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。