まず、障害者の支援について。これは障害児も含めての支援ということで質問をさせていただきます。
初めに、周産期医療を提供す
るセンターの全国的な整備により、それまで救えなかった命が救えるようになってまいりました。しかしながら、その一方で、重度の障害を負って産まれてきた 子供たちを受け入れる施設が十分に整備をされていないため、医療的なケアが必要な子供たちがNICUに何年もとどまらざるを得ない。結果として、新たな患
者を受け入れることが困難な状況を生み出しております。
こうした問題は全国で報告されており、千葉県でも同様の課題に直面をしているわ
けですが、これを調べる中で、船橋市が本気でこの課題に取り組まなければ、ある意味、本県の課題は克服できないのではないかという印象を抱きました。当初 は、周産期医療センターのベッド数確保という課題から私自身考え始めましたけれども、いろいろなところで話を伺う中で、何よりも家族が一緒に地域で暮らせ
るための基盤整備というものを本市においても急がなければならないという思いを強くいたしました。そこで、本市では、現状どうなのかということを中心に、 まず質問をさせていただきたいと思います。
ここに1つのデータがあります。県の重症心身障害児施設の過去の入所依頼件数の市町村別の分布
調べでは、開設以来の入所依頼件数、全体で176件のうち、市町村別の件数は、松戸市が2件、柏市が4件、市川市6件など、多いところでも7〜8件となっ ておりますが、船橋市だけ21件と突出して多いという結果が出ております。
今現在も、市内の複数の医療機関で、施設に空きがないために
長期の入院を強いられている障害児が存在をしております。この数字の意味するところは一体何なのか。船橋では、在宅での生活を支援する訪問診療や訪問看護 などの医療や福祉サービスの基盤が脆弱なため、それが多くの入所待機者を生み出しているのではないか。そうした観点も含めまして、幾つか本市の状況につい
てお伺いをしたいと思います。
重症心身障害児への支援の課題として、療育に不安を持つ保護者に対する相談窓口が少ない。身近な地域にお
いて、重心児・者に対応できる医療機関が不足をしている。重心児・者施設以外の施設では医療的なケアを必要とする超重症児の受け入れが困難である。通所施 設希望者の増加への対応も十分になされていないといったことが課題として挙げられております。
本市の場合はどうなのか。重症心身障害児
とその家族に対する支援の現状について、まず、本市の重症心身障害児の実態についてどの程度把握をされているのか、また相談の窓口はどこなのか、重症心身 障害児に関する相談の件数、内容等が集約をされてくるセクションというものはあるのかどうか、こうしたことも含めてお伺いをしたいと思います。
そ もそも、千葉県は医療的なケアを必要とする重症心身障害児を受け入れられる施設が全国的に見ても少ないということが、大きな問題とされております。試み
に、国立病院機構重症心身障害児病棟と公立、市立の重症心身障害児施設、これが医療的なケアを必要とする子供を受け入れられる施設の定員数を都道府県別に 足し上げて人口当たりでの比較を行ってみましたけれども、人口当たりの重症心身障害児施設の定員数は、千葉県は、都道府県の中でも下から4番目に少ないと
いう状況になっております。一番多い県の8分の1、また10番目に多い県と比較しても約5分の1しかないという結果になりました。
ただ
でさえ施設の少ない千葉県にあって、特に人口が集中しているこの東葛南部圏域に受け入れ可能な重症心身障害児施設がないということ自体、そもそもおかしい ことであると思います。単に入所の希望者を受け入れるだけでなく、在宅での家族の生活を支援する拠点としても不可欠と言えるこの重心施設の整備を県に対し
て強く求めてほしいと思いますが、いかがでしょうか。
次に、船橋市訪問看護ステーションにおける重症心身障害児に対するサービス提供の
実績について伺います。その際の紹介元、医療機関であるとか行政の福祉部門からの紹介であるとか、そういったものはどこからなのか。また、今後、サービス 提供の要望があった場合、サービス提供に応じるための条件はあるのでしょうか、また、外出への支援も行っているのか、この点についてお伺いをいたします。
続きまして、医療的ケアが必要な在宅重症心身障害児への日中支援の課題として、そもそも医療的ケアを必要とする利用者を初めから対象外としている施設が多
いということも挙げられております。施設の職員が特別支援学校の教員のように医療的ケアに対応できるような体制になっていない、看護師が配置をされていて も経験不足のために重症心身障害児の医療的ケアに対応できないことが多いといった問題も指摘をされております。
市が運営する施設におい
て、経管栄養等を必要とする重症心身障害者の受け入れ要請に対して、配置されている看護師は、健康管理のために配置をしているのであって、医療ケアには対 応できないと通所を断ったという事例も報告をされておりますが、なぜ受け入れられないのか、その理由についてもお伺いをしたいと思います。
最後に、障害児・者支援ということに関して、1点お伺いをいたします。肢体不自由児を含めた障害児のリハビリについて、船橋市には全国にも誇れるリハビリ
病院があります。ぜひともここで障害児に対するリハビリも実施していただきたいと求めるものですが、これについてのご見解もお伺いをしたいと思います。
障害児のリハビリについては、通常、複数の医療機関でのリハビリを受ける──リハビリのはしごということは認められておりませんけれども──特に障害児の
場合、成長期における十分なリハビリテーションを必要とする観点から、医学的に必要と判断される量のリハビリテーションが1つの医療機関で確保できないな ど、やむを得ない場合に限り、疾患別リハビリテーション量を複数医療機関で実施することは差し支えない。これは診療報酬の解釈ですけれども、なぜ複数の医
療機関でもできるのか。それは、障害児・者へのリハビリを実施できる医療機関が極めて少なく、1つの医療機関では十分なリハビリが確保できない現状を反映 したものでもあります。
特にこの千葉県は、そうした医療機関でのリハビリが十分に受けられる体制というものができておりません。この船
橋においても、リハビリができる病院、医療機関がないために、子供のために片道1時間半以上、時には渋滞で、船橋を抜けるだけでそれだけの時間をかけて車 を運転してリハビリに通っている、リハビリに通うことで一日が終わってしまうという保護者がたくさんおります。
船橋には最新の設備を誇
るリハビリ病院があって、やろうと思えばこうした現状を改善できるにもかかわらず、そうしたことに全く目を向けないというのはどう考えてもおかしいと思い ます。ぜひともこうした子供たちの受け入れを最新鋭の設備を誇るリハビリ病院で行っていただきたいと思いますが、ご見解をお伺いをいたします。
●福祉サービス部長(中嶋祥治) 障害者の支援について、お答えいたします。
初めに、重症心身障害児の実態についてでございますが、身体障害者手帳と療育手帳の所持者のうち、18歳未満の重症心身障害児は市内で83名で、このうち障害福祉サービスの受給者証を受けている者は54名であります。
なお、この数字はあくまでも在宅の福祉サービスに関するものでございますが、医療機関への入院や児童相談所の所管となっております施設入所の状況について
は、詳細は把握しておりません。また、相談窓口につきましては、市の障害福祉課のケースワーカー、こども発達相談センター及びふらっと船橋で受け付けてお ります。
実績でございますが、医療機関からケースワーカーへの相談や、ふらっと船橋へのサービス利用の相談が各1件ずつございました。
次に、重症心身障害児施設の整備につきましては、千葉県の第四次障害者計画において、在宅支援が脆弱な中で、家族の施設整備へのニーズは大きいものがあ
り、特に県内の人口密集地である東葛地域における同施設の整備に向けて支援を行うと記載されております。東葛地域には、各市が共通する課題を協議する11 市保健福祉主管部長会議が設けられております。この問題につきましても、関係市と協議しながら、県の施設整備計画の推進に向けて働きかけてまいりたいと考
えております。
次に、市直営の訪問看護ステーションでの重症心身障害児に対するサービス提供についてでございますが、実績といたしましては、平成14年度から17年度に1名、平成18年度に1名でございます。その際の紹介元は、市外のクリニックと本市の医療センターでござ_い泙靴拭_/span>
次に、サービス提供に応じる条件、また、外出支援についてでございますが、専門の医療機関、主治医からの適切な指示、指導がなされることが不可欠でござい
ます。また、その指示に従って、重症の児童に適切なケアができる知識・技術を持つスタッフも必要であります。このようなことから、スタッフの経験や研修等 が必要であり、現在の体制ではすぐに対応することは難しいものと考えております。
次に、医療的ケアが必要な重症心身障害者の受け入れに
ついてでございますが、身体障害者福祉作業所太陽で、気管切開のため、1時間に1回程度のたん吸引が必要とされる方の通所をお断りしたことがございます。 太陽は、就労の機会の提供とともに、自活訓練及び生活指導を実施する施設であります。したがって、これらの自活訓練や生活指導などを行うことができず、日
常的な介護と医療的ケアだけの支援養護について、施設の目的が違うこと、受け入れ態勢が整備されていないことから、通所の受け入れができなかったものであ ります。
このようなことから、医療的ケアと日常的な介護を提供する重症心身障害児通園事業所を紹介したところでございます。
以上でございます。
[健康部長登壇]
●健康部長(渡辺貴正) 障害者支援についての質問のうち、所管事項についてお答えいたします。
肢体不自由児のリハビリを市立リハビリテーション病院でできるようにしてほしいというご質問だと思います。市立リハビリ病院における肢体不自由児のリハビ
リにつきましては、肢体不自由児施設などで行う専門的なリハビリはできませんが、リハビリ病院でできる範囲のリハビリを提供できるよう検討してまいりたい と思います。まずは、外来通院によるリハビリでどこまでできることがあるか、リハビリ病院側と相談してまいりたいと思います。
以上でございます。
●角田秀穂議員 2問をさせていただきます。
初めに、障害児・者の支
援についてから。まず、重症心身障害児・者の支援の実態ということで、答弁の中でも相談もほとんど寄せられていないということで、実態がまず見えていない ということが挙げられると思います。そこで、まずこの実態の調査をぜひともお願いしたいと思います。その上で、健康福祉局として、どういった対策が必要な
のか、課題があるのか、整理をして検討していただきたいと思いますけれども、この点についてはいかがか、答弁をお願いしたいと思います。
それから、本当にまず施設も絶対に必要です。東葛圏域でも、北部じゃなくて、ぜひとも南部圏域につくってもらうということで、しっかりと働きかけをお願いをしたいと思います。
それから重症心身障害児・者の地域での生活を支援する上で、訪問看護の充実が本市においてもぜひとも必要と考えます。そもそも訪問看護は老人保健法に基づ
く老人訪問看護から出発した経緯もあり、医療ケアが必要な重症心身障害児に対するサービス提供については、十分な経験が蓄積されていないのが実情ではない かと思います。市が直営の訪問看護ステーションを開設した当時と現在とでは状況も変わってきております。その状況の変化も踏まえ、市の訪問看護ステーショ
ンが果たすべき役割、なぜ市が訪問看護ステーションを経営しなければならないのか、民間では採算面からも対応が難しい重症心身障害児への支援を含めて、ぜ ひともその存在意義を検討していただきたいと思います。
それから、障害児・者のリハビリということに関してですけれども、どういうこと
ができるか検討していただけるということでしたので、ぜひとも早急に実施する方向で今後進めていただきたいと思います。こうした取り組みに対しては、県内 の障害児・者に対するリハビリを行っている施設も必要な協力をしてくれると思いますので、ぜひともそうした専門機関にアドバイスも求めながら実施する方向
での努力をお願いをしたいと思います。
●福祉サービス部長(中嶋祥治) 障害者の支援についての2問にお答えいたします。
実態の調査についてですが、重症心身障害児につきましては、身体障害者手帳の取得はしても、療育手帳の取得をしない方もおられ、手帳情報だけではその実数
の把握が困難な状況もございますことから、産科や小児科等の医療機関や母子保健、福祉施設や相談機関などとの連携を図り、その実態の把握手法について研究 してまいりたいと考えております。
また、平成20年7月の厚生労働省の障害児支援の見直しに関する検討会報告書において、「重症心身障
害児(者)について在宅での支援を進めていくため、医療的なケアを提供できる短期入所や、訪問看護、通園事業の充実などについて検討すべきである」とされ ております。今後につきましては、重症心身障害児についての包括的な研究が必要であるというふうに考えております。
次に、市の訪問看護
ステーションの存在意義についてでございますが、平成4年4月に老人訪問看護制度が法制化され、かかりつけ医の指示に基づき看護サービスが提供できるよ う、当時の船橋市在宅医療問題研究委員会の答申を受け、訪問看護事業の先導的役割を果たすため、市内2番目の事業所として、平成6年4月に老人訪問看護ス
テーションとして設置いたしました。
平成6年10月に健康保険法が改正され、年齢に制限なく訪問看護を受けられるようになりましたので、現在の名称に改め、また、平成12年4月の介護保険法の施行に伴い、指定訪問看護事業をあわせて実施しております。
重症心身障害児を支援していくためには、専門医療機関のバックアップや医療用具事業者など、継続ケアにかかわる多様な職種との重層的な連携や、重症の児童
の医療的ケアに習熟した看護師が必要となります。これまで、市の訪問看護ステーションは主に高齢者を中心とした看護サービスを提供してまいりましたので、 重症心身障害児の支援に当たりましては、専門医療機関を中心に、医療、福祉など包括的に検討する必要があります。今後の研究課題として考えております。
以上でございます。