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平成20年第1回船橋市議会定例会会議録(第5号・5)
●角田秀穂議員 発達障害児支援について、新年度の新規事業である感覚統合療法について伺います。
昨年の3月議会で、軽度発達障害など、発達に何らかのつまずきのあ る子供の実態が、近年徐々に明らかになりつつあり、それに伴って、こうした子供たちへの早期からの支援の必要性が指摘されていることを踏まえ、発達障害児 への治療アプローチの1つである感覚統合療法について、本市の場合はこども発達相談センターに必要となる器具を初め、実施に必要な環境がほぼ整っており、 感覚統合療法に精通した作業療法士さえ確保できれば、すぐにでも行うことができる状況にあることから、施設の有効活用の観点からも実施を提案させていただ きました。実現に尽力された関係者の方々に感謝を申し上げたいと思います。
感覚統合療法は、注意が持続しない、感情をコントロールできない、 常に動き回る、読み書き算数ができない、縄跳びなどの運動ができないなどなど、障害の原因として触覚や視覚、聴覚など、感覚を脳の中で処理する過程に何ら かの障害があることが強く疑われる場合に、その子供の症状に応じてさまざまな器具を用いたりしながら、適度な感覚刺激を与えることによって脳の働きを促 し、適切な行動に導いていこうとするリハビリ手法で、感覚統合の発達に問題がある場合には、幾つかの症状、状態の改善が認められるケースがある一方、当然 のことながら限界もあることから、まずは感覚統合療法実施の適否を正しく判断できる熟練した専門の作業療法士が指導に当たることが大前提となりますが、こ の点についても現在鋭意交渉が進められていると伺っております。
本市で実施するこの感覚統合療法について何点か伺っておきたいと思いますが、初年度となる来年度は、対象者、人数、対象年齢については、どのように考えているのでしょうか。また、参加者の募集方法、周知についてはどのように行うのか、お伺いをいたします。
発達障害児支援について。
次に、これは今年度にやはりこども発達相談センターを会場に実施をされたペアレント・トレーニングについてお伺いをいたします。
ペアレント・トレーニングは、ADHDなど発達につまずきのある子 供本人ではなく、子供を育てる親に焦点を当てたプログラムで、そもそも発達につまずきのある子供は、親の言いつけを聞かない、言ったとおりにしない、約束 したことを守らないなど、育てる側から見た場合、一言で言えば育てにくい子であるということが多い。実際には、何らかの障害でできない、守れないのです が、そのわけを親が理解をし、子供の特質を理解した上で、ではどのように接すればよいのかを考え、より良好な親子関係を築くための技法として考案をされた ものですが、本市において今年度実施したペアレント・トレーニングについて、今年度の事業についてどのように評価をしているのか、また来年度以降の計画に ついてはどうかということについてお伺いをしたいと思います。
続きまして、組織改正により新年度から新たに設置される療育支援課 について、業務の内容などについて質問をしようと思いましたが、まだだれが課長になるかもわからないため、とりあえずこの場では要望だけ申し上げますの で、特に自分は課長になりそうだという方には聞いておいていただきたいと思います。そうでない方も一応聞いていただければと思います。
障害児の療育については、私自身、乳幼児期から教育・就労に至るま で一貫したサポートが行われる体制の必要を、過去の議会においても繰り返し訴えてまいりました。昨年の12月議会においても、船橋において複数の機関や施 設で障害児の療育サービスが提供されていますが、指導、支援の計画づくりが個々の施設ごとに行われているため、一人一人の発達段階に応じた適切かつ一貫し た支援が提供されていない現状を指摘させていただいた上で、一人一人に最適な支援計画の作成と、それに基づく一貫した支援の実施が行われるよう、子供発達 相談センターに医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、臨床心理士などで構成する専門家のチームを置いて、機能の充実を早急に図ることを要望させてい ただきました。
療育支援課新設の目的も体系的で一貫した療育体制の構築、それと周 辺機関との連携強化による広範囲な療育体制の構築をうたっており、これによって本市における療育のあり方が少しでも本人や家族に寄り添って考えられるよう になり、結果として福祉の向上につながることを切に願うものであります。
療育支援課においては、まず一貫した支援を行うもととなる支援の計 画づくりにおいて、一人一人の状態を的確に把握して、個別の支援計画を多くの専門職がかかわって策定する体制を整えることに取り組んでいただきたいとお願 いすると同時に、その上で専門家チームによって策定された支援計画に基づくサービス提供のためには、当然、部局の枠を超えた連携の体制づくりも必要となっ てまいります。関係する部所による連絡調整の仕組みづくり、あくまでも実効性のある仕組みづくりについて、中心的な役割をぜひとも担っていただきたいと思 います。
そして、もう1点、これは申すまでもありませんが、療育は早い段階 から実施できるのであれば、それに越したことはありません。発達障害児を含め、就学前の保育所、幼稚園等への巡回相談は、現状公立の保育園しか行われてお りませんが、支援を必要とする子供は、私立の保育所、私立の幼稚園にも間違いなくおります。必要な支援に早期に結びつけていくため、現在、対象となってい ない施設への巡回相談を、療育支援課発足を機に、ぜひとも実施していただきたい。学校に上がってからでは遅いとまでは申しませんが、支援は早いに越したこ とはありません。教育委員会との今以上の連携強化もあわせて、療育支援課の最優先課題として取り組んでいただきたいと、ここでは要望をさせていただきま す。
●福祉サービス部長(中嶋祥治) 発達障害児支援についてのご質問にお答えいたします。
感覚統合療法につきましては、学習障害や自閉症などの発達障害に有 効とされておりますことから、これらの障害をお持ちのお子様を対象として実施したいと考えております。対象年齢及び人数につきましては、就学前の幼児を対 象に指導者と1対1の関係で行い、1日3人から4人程度で実施する予定でございます。したがって、年間延べ30人程度を見込んでいるものでございます。
次に、この事業の募集方法及び周知についてでございますが、まず募 集に当たりましては、感覚統合療法が有効なお子様の見きわめをどのように行っていくのか、今後検討する必要がございます。また、この療法を実施していく中 で、お子様のウイークポイントなども見えてくることから、保護者の方に対しても非常にデリケートなメンタルサポートが必要となります。このようなことか ら、初年度につきましては、メンタル面のサポートが比較的容易なこども発達相談センターの相談業務をご利用している保護者の中から希望者を募る方法のほ か、学習障害児や自閉症児の保護者の団体等に呼びかけるなどの方法を検討しているところでございます。
次に、ペアレント・トレーニングについてでございますが、こども発達相談センターで9月から11月までの期間において実施いたしました。参加された保護者は15名で、5名ずつの3班に分かれ、講義と実践指導などのカリキュラムにより実施したものでございます。
この事業の評価でございますが、事業の最終日に実施したアンケート によれば、おおむね良好な評価をいただいたものと考えております。自由記述の感想では、「大変参考になった」「同じような悩みを抱えている人と話をできた ことがよかった」「子供の困難な行動が理解できた」「参加者の表情が回を重ねるごとに明るくなった」「今後は、日常において応用したい。もっとこのような 事業をやってほしい」といった意見が寄せられたところでございます。
このようなことから、保護者とお子様の生活を改善するというペアレント・トレーニング本来の目的が、十分に達せられたと考えております。したがいまして、来年度につきましても発達障害児の重要な支援施策として引き続き実施してまいりたいと考えております。
●角田秀穂議員 発達障害児支援について。特に、今年度実施して来年度も行うとされているペアレント・トレーニングについて、この面について日本において早い段階からより効果的なプログラム開発に取り組み続けている猪飼ユリヤさんはこう語っております。
プログラムを作成する上で一番難しいと感じたのは、日本の家庭でど のようにトレーニングを行っていくかでした。日本とアメリカでは、育児の習慣も社会環境も違うところが多いので、アメリカで生まれたペアレント・トレーニ ングのプログラムを日本に定着させるには、日本の家庭向けに変えていくことが絶対に必要でした。ペアレント・トレーニングは、我が子によい注目を注ぐこ と、すなわち褒めることから始まりますが、日本人は自分の子供を褒めることが余り得意ではありません。英語ではグッドで済むことでも、日本語だと難しい。 実際トレーニングを始めたばかりの受講生の多くは、うちの子供は褒めるところなんか何ひとつありませんとうなだれ、10回ものセッションを続けていけるだ ろうかという不安にとらわれます。そんな受講生の気持ちが痛いほどわかり、褒め方1つにとっても、アメリカと日本の違いを感じながらプログラムをつくって いきました。
このように日本で行う際での苦労を語っておられます。
日本の家庭での子育てに適した手法の開発に向けて、ペアレント・ト レーニングはまだまだ現状試行錯誤の段階であると思います。発達につまずきのある子供を育てる親にとって、より有効な支援が本市においても講じられるよ う、こうした専門家の意見も聞きながら、内容の充実をぜひとも目指していっていただきたいと思います。