平成17年第4回船橋市議会定例会会議録(第5号・4)
●角田秀穂議員 今回通告いたしました項目のうち3番目、行財政改革における民間ノウハウの活用については、今回は取りやめといたします。次回以降、もう少し詳しい具体的
な形での質問をさせていただきたいと思います。したがいまして、今回は、教育委員会に対する質問のみとなります。よろしくお願いをいたします。
初めに、学校図書館についてお伺いいたします。
子供の読書離れの傾向が指摘されていることを受けて、国・都道府県・市町村などが一体
となって子供の読書活動を推進することを目的に、子供の読書活動の推進に関する法律が議員立法で成立をし、平成13年12月から施行されてから、ちょうど 4年が経過いたしました。この間、国の基本計画を踏まえ、千葉県でも、平成15年度に子供読書推進計画を策定し、家庭、地域、学校を通じた子供が読書に親
しむ機会の充実や子供の読書環境の整備が進められようとしております。
本市においても、読書環境の整備のため、学校図書館の蔵書の充実を初め、図書ボラン
ティアの育成・活用や図書物流システムの拡大など、各種の施策が講じられております。その1つとして、今年度からは、学校図書館の一層の活用を図ることを 目的に、市内全小学校に図書事務職員が配置されました。
図書事務職員の配置により期待される効果として、これは、ことしの第1回定例会での質
問に対しまして、教育委員会は、人のいる温かい図書館になることによって、子供たちは図書館が利用しやすくなる。読書活動や学習活動が活発になり、学力や 豊かな心の育成につながることが期待できるという内容の答弁をされておりましたが、私自身、図書事務職員が配置をされました幾つかの小学校にお伺いし、図
書館においていろいろお話を伺う中で、子供の読書活動推進の上で大変大きな成果を上げていることを実感させていただきしまた。
図書事務職員配置の効果については、先日、一般紙にもその一端が紹介されておりました
が、私が伺った小学校でも、職員が配置される以前と比べて、毎月の児童1人当たりの貸し出し冊数が5割程度増加したという話を伺いました。また、ただいま 引用した答弁にも、人のいる温かい図書館という表現がありましたが、図書館でお話を伺っている最中にも、頻繁に子供たちがやってきて、職員の方と楽しそう
に会話をしたり、あるいは進んで作業を手伝ったりする光景なども見受けられ、いい意味で子供たちにとっての新しい居場所になっているということも確認をさ せていただきました。
こうした取り組みは、ぜひともこれから継続、発展させていただきたいという思いから、
今回は質問させていただきたいと思いますが、まず、今年度から実施した図書事務職員配置の効果について、教育委員会としてはどのように評価をされているの か伺いたいと思います。また、全小学校への図書事務職員配置の成果を踏まえ、中学校にもこうした配置を進めるべきと考えますが、この点についてはどのよう
にお考えになっているのか、伺いたいと思います。
次に、図書館の利用が増加したことに伴い、現場では事務の遂行に当たって、幾つか不都合な点も出てきているようですので、このことについて改善すべき点を指摘し、見解をお伺いしたいと思います。
まず、図書の貸し出しの際に用いるバーコードリーダーが、現状には各学校ともに1台と
いうのでしょうか、1つしか備えられていないため、特に児童数が多い学校においては、雨の日などは1冊の本を借りるのに何十分も待たなければならず、大変 な不便を強いられているという声を伺いました。こうした点については早急に改善すべきと考えますが、いかがでしょうか。
このほか、いずれの学校でも書架の老朽化が著しく何とかしてほしい、読書環境整備のた
め学校図書館にもエアコンを設置してほしいなど、環境整備については多数の意見、要望を伺いました。こうしたことについても今後検討していただきたい、こ れは今回要望としておきますが、学校図書館への図書事務職員配置によって、新たに見えてきた課題も踏まえ、本市においても子供読書活動推進のための総合的
な計画を策定すべきではないかと考えるものであります。
次に、学校図書館の利用の増加を受けて、蔵書のさらなる充実を図るべきとの観点から質
問させていただきます。限られた資源の有効利用の上から、本年10月より、図書物流システムが全校で利用できるようになりましたが、まず、この図書物流シ ステムの効果については、教育委員会としてどのようにとらえているのか伺っておきたいと思います。
私自身、物流システムは効果を上げていると感じておりますが、例えば今学校現場におい
ては、総合的学習の時間というものが設けられ、さまざまなテーマに沿った参考図書の需要が高まっております。学習に必要な資料は、インターネットからも、 ある程度拾うことは可能なのですが、それだけでは不十分なケースも多く、手元に参考図書があった方が便利だという声も強いようであります。そうした際に、
図書物流システムで必要な図書を融通し合うことも可能なのですが、図書物流システムの場合、期限が原則として2週間程度に限られております。一方で、総合 的学習の時間で取り上げたテーマを扱う期間は通常数カ月に及ぶことから、やはり自校の図書館に蔵書として備え付けられていた方が便利だという声が強いよう
であります。
こうしたニーズも踏まえ、読書活動の推進を図るための蔵書の充実をさらに進めるため、こうした観点からも、政策的に図書購入予算の増額を図るべきではないかと考えますが、この点について、教育委員会としてはどのようにお考えなのか伺いたいと思います。
●学校教育部長(松本文化) 学校図書館についてのご質問にお答えいたします。
まず、図書事務職員配置の効果についてですが、いつでも人のいる温かい学校図書館が実
現したことにより、各学校では図書の整理と環境整備が進み、子供たちがいつでも図書館を利用できるようになりました。図書の貸し出し冊数が、昨年は一月に 児童1人当たり2.3冊でしたが、ことし10月には4.2冊にふえております。また、図書物流も活発になって、各学校とも、他校や公立図書館から借りる数
もふえてきております。こうしたことから、導入の初期から大きな成果があったと考えております。
次に、中学校の図書事務員配置についてですが、教育委員会としましても、小学校で身に
つけた読書週間を中学校において継続させ、一層発展させるよう働きかけております。生徒の主体的な読書活動や学習を支える場である学校図書館の有効活用に つきましては、発達段階を考慮し、ボランティアの活用を軸とした効果的な人的配置のあり方を研究してまいりたいと考えております。
続きまして、図書館利用の増加に伴う不便の解消についてですが、大規模校に対しては図書の貸し出しや返却がスムーズに行えるよう、バーコードリーダーの増置を検討しているところでございます。
次に、図書物流システムの効果についてですが、図書事務員の配置により、このシステム
を小学校全校が有効に使えるようになり、多くの図書を活用した幅広い学習ができるようになっております。また、子供たちの、この本が読みたいという個々の 読書意欲にもこたえることができるため、利用件数も昨年の2倍にふえております。
最後に、図書購入予算の増額の必要性についてですが、自校に図書がそろっているのが望ましいことは言うまでもございません。配当予算の有効な活用を各学校に指導するとともに、図書購入費の増額につきましては、関係課と協議してまいりたいと考えております。
●角田秀穂議員 初めに、学校図書館について少々要望させていただきたいと思います。
子供の読書活動の推進に関する法律の施行を受けて、国においても、平成14年度から小
中学校の学校図書館の蔵書数充実のために、学校図書館図書整備5カ年計画をスタートさせ、地方交付税として、全国で毎年130億円の予算が措置されてきて おりますが、それにもかかわらず、学校図書の蔵書数の標準を満たしている学校の割合は、全国の小学校の36%にとどまっていること、その原因がどうやら、
せっかく措置した予算が、古くなるなどして廃棄処分された図書の補充に充てられているためではないかということで、文部科学省は、ことし6月に全国の都道 府県教育委員会に対して、学校図書館図書整備費は各学校図書館の蔵書をふやすための経費だとの趣旨を徹底する通知を行ったとの新聞報道がありました。
本市の実情を顧みた場合、学校図書館の蔵書数については、過去の議会質問に対する答弁
でも、おおむね蔵書数の標準は満たされているということになっておりますが、今回、実際に現場を訪ねてわかったことの一つとして、学校図書館に備えつけら れている学校図書整理簿に記載されている数と現実の蔵書数との間にかなりの差があるケースが見受けられました。
すなわち、廃棄したにもかかわらず台帳から削除しなかったのか、あるいは図書館から持
ち出されていまだに返却されていないものなのか、原因はわかりませんが、とにかく見当たらないという、いわゆる不明本がかなりの数に上るという印象を、今 回伺った範囲だけでも抱きました。
実際の蔵書数は果たしてどれだけあるのか、こうした基本的なことが把握されていなけれ
ば、子供のための読書環境整備の議論も先に進めることはできないと思います。こうした蔵書の管理は専任の職員が配置されない限り難しかったという面もある のではないかと思っております。貴重な予算を使って購入している図書です。専任の職員配置を機に、蔵書の管理という面にも力を入れて、子供の読書活動推進
のための取り組みをさらに充実させていただきたい、今回はこのことを特に要望しておきたいと思います。その上で、読書活動の推進については、改めて議論を させていただきたいと思います。