平成17年第3回船橋市議会定例会会議録(第6号・1

角田秀穂議員 弱視・斜視の子供に対する支援について、これは前議会、7月議会に引き続き質問をさせていただきます。

 前議会において、眼鏡やコンタクトレンズを用いて矯正しても十分な視力が得られない弱 視や斜視のうち、視力の発達する生後2〜3カ月から3歳ごろまでの幼児期に弱視や強度の屈折異常があり、正常な目のみが働くようになり視力が上がらなく なったというケース、いわゆる屈折異常が原因の場合には、早い時期に適切な治療を施せば視力の改善が望めること。この場合の治療は眼鏡による屈折矯正が基 本であり、視力の発達は一般的には8歳〜10歳程度でとまってしまうことから、治療開始の時期が早ければ早いほど効果が期待できることなどを述べさせてい ただきました。

 その上で、治療段階における弱視・斜視矯正眼鏡に対しては、過去の厚生省の通達におい て眼鏡は治療のために必要な用具ではないとされたことなどにより医療保険が適用されず、全額自己負担で行わなければならないことから、弱視の子供を持つ保 護者は大きな経済的な負担を強いられている現実があることを指摘させていただき、本市における実態の把握を要望させていただきました。

 そこで、質問の1点目として、本市における弱視・斜視の子供、特に乳幼児の実態についてどの程度把握しているのかということについて伺いたいと思います。

 質問の2点目として、弱視・斜視の子供への支援として、本市においても医療保険の適用が考えられないかということについて見解を伺いたいと思います。

 前議会で述べたことの繰り返しになりますが、弱視・斜視の矯正用眼鏡が医療保険の適用 対象とならない根拠とされている通達においては、眼鏡の取り扱いについて「疾病または負傷の治療のために必要な用具(補装具)は支給されることになってい るが、眼鏡はこのような用具とは性質を異にしているので支給の対象から外されている。医療保険における眼鏡の支給は認められないが、身体障害者福祉法第 20条の規定に基づく補装具としての眼鏡支給が考えられる」として、眼鏡は治療のために必要な用具ではなく、障害者のための補装具であるとの考えが明示さ れておりますが、そもそもこの通達においては適切な治療を施せば改善が期待できる子供たちの治療のことは考慮されておりません。

 最近の新聞報道によりますと、子供の治療用眼鏡やコンタクトレンズに保険適用が認めら れる事例がふえているとして、2005(平成17年)年3月中旬までに152件の保険適用の報告があったと紹介をしております。内訳は健康保険組合68 件、社会保険51件、国民健康保険24件、共済組合9件となっており、「幼年期(おおむね小学校中学年程度まで)の被扶養者が着用」、「疾病の治療のため に着用」、「医師が治療用に処方」などの条件を定めたり、「医師の診断で治療効果がある場合に認めている」など、一定の条件のもと保険適用を認めている保 険者がふえているとのことです。

 全体から見ればまだまだ保険適用の事例は少ないものの、適切な治療を施せば改善する弱視・斜視の子供に対し、専門の医師が治療のために処方した眼鏡は疾病または負傷の治療のために必要な用具(補装具)であり、支給の対象となると考える方が自然であると考えます。

 こうした動向も踏まえ、国民健康保険の保険者である本市においても治療効果が期待できる子供の眼鏡、コンタクトレンズの保険適用を求めるものですが、このことについて見解を伺いたいと思います。

 以上で、1問といたします。

健康部長(加藤健) 弱視・斜視のお子さんへの支援についてのご質問にお答え申し上げます。

 まず最初に、乳幼児の弱視・斜視の実態はどのように把握しているかということでござい ます。眼科健診につきましては、弱視や屈折異常、斜視を早期発見し、早期治療に結びつけることが必要でありますことから、3歳児健診の中で実施いたしてお ります。また、何らかの異常があった場合には、医療機関で精密検査を受診していただくようお勧めいたしております。

 平成16年度におきましては、受診者4,842名中、眼科の精密検査受診票を発行したお子さんは187名となっております。そのうち、眼鏡の処方が出されたお子さんは41名であったと報告を受けておるところでございます。

 次に、国民健康保険にかかわります弱視・斜視治療用矯正眼鏡についてのご質問にお答え 申し上げます。国民健康保険の診療報酬の審査や支払いに関する事務につきましては、業務を統一的かつ効率的に行うために、千葉県国民健康保険団体連合会に 委託をいたしております。現在のところ、療養の給付の対象となる装具は、疾病または治療遂行上必要な範囲のものとされ、いわゆる治療用装具に限られている ところでございます。

 一方、議員の質問の中にありましたように、近年、特殊なケースとしてではありますが、 弱視・斜視治療用矯正眼鏡について、療養費の支給対象とする保険者が出てきておりますことから、本市といたしましては治療効果が期待できる子供の眼鏡やコ ンタクトレンズなどの治療用眼鏡などの保険適用について、審査機関であります国保連合会に働きかけてまいりたいと考えております。

 以上です。

角田秀穂議員 弱視・斜視の子供に対する支援についてですが、治療目的の眼鏡については既に国民健康保険においても複数の適用事例があることから考えて、市においても一定の条件のもとに支給を認めるという判断を下すことは可能であると思います。

 もとよりこの問題は、国民健康保険だけが保険適用を認めればよいというものではなく、国が従来の対応を見直し、一定の考え方を示すことが何よりも求められていると思います。

 ただ、それがいつになるのかスケジュールも明らかでない中、今現在、弱視治療用のため の矯正眼鏡が治療材として認められないために全額自己負担をせざるを得ない保護者の負担は、金額的には1個約3万円。特に大事とされる幼児期には成長に合 わせて数回の交換が必要となることから、かなり大きな負担を強いられている現状が本市においてもあるわけです。

 現状では、治療のための眼鏡の費用は身体障害者、身体障害児に認定されない限り受けられません。制度の谷間に置かれているといっても過言でない弱視の子供並びに保護者のために、経済的支援を行う本市独自の制度がぜひとも必要であると考えます。

 前議会において、明らかに治療のための眼鏡が必要にもかかわらず、保険適用か受けられ ず、子育てにおいて過度な経済的負担を強いられている世帯に対し、自治体レベルでどのような支援ができるかを考え、実践している事例の1つとして、茨城県 結城市の例を紹介させていただきました。同市では、いわゆる弱視・斜視児用矯正眼鏡の購入等助成を行うことによって、医療福祉の増進を図ることを目的に、 校医または医師の判断により弱視と判定された者、障害者手帳の交付を受けていない者に対して、年1回、助成額は実費の2分の1、限度額2万円を助成してお ります。

 この場合、小学校児童が対象となっておりますが、視力の発達は一般に小学校低学年でと まると考えられていること。治療開始の時期は早ければ早いほど改善が期待できることを考え合わせ、幼児期からの矯正用眼鏡購入に対する助成制度がぜひとも 必要と考えます。こうした制度の創設を求めるものですが、このことについて見解を伺って2問とさせていただきます。

子育て支援部長(土屋博保) 弱視・斜視の子供の支援についての2問にお答えさせていただきます。

 市単独の助成制度ということでございますが、子育て支援の観点から新たな経済的支援と いうことでございますが、ご提案の趣旨は医療保険適用外の経費に対する経済的支援でありまして、この場合は他の疾患との整合性や公平性をどのように図って いったらよいのか課題もあると思われますことから、今後、国や各自治体の動向を注視しながら、支援制度につきましては慎重に研究してまいりたいと考えてお ります。

 以上でございます。(予定時間終了5分前の合図)

角田秀穂議員 弱視・斜視の子供の支援について、市として何らかの支援措置を講じられないかということに対して、ほ かの疾患との兼ね合いもあるというようなことでしたけれども、ある意味、私自身は今制度の谷間に置かれている子供たち、そうした現実が本市にあるという声 も聞いて、やはりこれは当然何らかの助成をする妥当性はあると思って提案をさせていただいているわけで、今の答弁をお聞きする限りは、ほかにも谷間がある から谷間のままでいいのだというような考え方というようにも受けとめて、それでは全く進展が見られないのではないのかなというふうに危惧をしております。

 実際の保険適用がまれではあるが認められているとおっしゃいましたけれども、現に船橋においても適用を認めらている人もいる。逆に、保険者によっては認められていない人もいるという、既に同じ疾患にありながら不公平感が生じております。

 また、保険が認められている方の場合は、本市の場合4歳までであれば自己負担分も乳幼 児医療費の方で助成が受けられる。非常に不公平感な状況が現在既に存在しているわけです。そうした不公平を是正する上で、市としても当然何かを考えていか なければいけないと思いますので、ただいま提案したことも含めて、今後積極的に検討していただきたいと要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。