平成17年第1回船橋市議会定例会会議録(第4号・2)

角田秀穂議員  市のホームページについてお伺いをいたします。

 皆様も実感されているとおり、インターネットの急速な普及はまさに目を見張るものがあります。

 総務省の情報通信白書によりますと、平成15年末における我が国のインターネット利用 人口は7730万人、対前年比6.1ポイント増と推計をされ、人口普及率も、平成10年には13.4%だったものが60.6%と、初めて60%を超えたと しております。特に、企業や事業所に比べて、世帯の普及率の向上が目覚ましく、平成10年時点で19.2%、2割弱だったものが、この5年間で88.2% へと急増し、今や家庭でのインターネット利用が当たり前の時代となりました。

 家庭にいながらにして必要な情報を得ることができるインターネットの普及は、特に障害 者や高齢者など、外出が困難な人たちにとって社会参加の機会の増大など、これまでにない利便をもたらすものと言えますが、その一方で、アクセシビリティの 確保、すなわち、障害者や高齢者を含め、いつでもだれでもが利用しやすいホームページ、ウェブコンテンツづくりという面においては、大きく立ち遅れており ました。

 高齢者や障害者、及び一時的な障害のある人がウェブコンテンツを利用する際のアクセシ ビリティ確保のため、経済産業省は昨年6月、ウェブページのアクセシビリティのJIS基準を制定しました。今後、アクセシビリティに配慮したホームページ の普及が望まれますが、とりわけ市民生活に密接にかかわる行政のホームページのアクセシビリティ向上は重要な課題といえます。

 JIS規格であります高齢者・障害者等配慮設計指針に照らして、改善すべき箇所を チェックするソフトで本市のホームページのトップページと障害福祉課のページをチェックしたところ、問題点が市のトップページで39件、障害福祉課のトッ プページで19件あるとの診断結果でした。

 ただし、これらの問題点を改善すれば利用しやすいホームページになるかというと、必ず しもそうとは言えないところが難しいのですが、ここでは、ソフトでチェックされなかった問題箇所を幾つか指摘をさせていただき、どうすれば利用しやすい ホームページになるかを考えてみたいと思います。

 市のホームページを開いた際、上から見ていきますと、右肩に「緊急情報」のアイコンが あります。市や警察の緊急情報を市民にいち早く知らせるためのページへのリンクを示すものですが、赤い字に白抜けで文字を書いているため、一部の視覚障害 者にとっては何と書いているのかがわかりません。アクセシビリティに配慮したホームページの観点からは、色使いを見直すべきだと思います。

 ちなみに、その下の方に、カエルの画像の隣に、「文字の大きさや色を変更してご覧にな りたい方はこちらから」というリンクがありますが、私の使っている環境では、ちなみにブラウザはマイクロソフトのインターネットエクスプローラバージョン 5.2、マッキントッシュ用ですが、何度試みてもページを開くことができませんでしたので、使い勝手を検証することもあきらめました。

 次に、ホームページで用いられている日付の表記の方法も、一般的に見受けられる月と日 にちをスラッシュ──斜め線ですね、スラッシュで区切る表記法を用いていますが、広く使われている音声読み上げブラウザでは、例えばこの表記法で書かれた 3月8日は8分の3と読み上げます。何月何日という表記にすれば、読み上げブラウザは正しく読み上げます。また、この表記法を変えることによってふえる文 字数はたったの1文字です。表記方法を変えることで見直すべきではないでしょうか。

 トップページのトピックスの欄に、昨年末からことし初めにかけて、交通バリアフリー基 本構想案に対する意見を募集する記事が掲載されておりました。構想案に対する意見は、電子メールでも受け付けられております。ホームページにも、メールを 送るためのアイコン、封筒の画像ですが、これが置かれておりましたが、音声読み上げブラウザは画像を無視するため、視覚障害者はそこから意見メールを送れ ることがわかりません。この場合、画像に「ご意見のメールはこちらから」という代替テキスト、ALT属性をつけておけば、視覚障害者もソフトを使ってメー ルを送信することが可能でありました。

 当然のことながら、意見を募る側にバリアフリー構想策定に視覚障害者の意見を排除する考えなどないはずであります。

 また、障害福祉課のホームページのトップページにおいても、1番最初に置かれている障 害福祉課の画像ですが、当然、視覚障害者には画像が見えません。そのために、音声ブラウザが読み上げるための代替テキストがつけられておりますが、肝心の 代替テキストの文字と文字の間にすべて空白、スペースを挿入しているため、ソフトが1続きの文章として認識をせず、障害福祉課をサワリ、ガイ、フク、シ、 カと読み上げてしまいます。視覚障害者にとっては何のことかわかりません。

 その他、チェックソフトで指摘されたことを含め、利用しやすさということに関して改善すべき点が幾つか見受けられました。

 行政のホームページは、今や障害者や高齢者など、移動制約者にとって貴重な情報源であ るにとどまらず、行政に参画するための欠かせない道具となっております。その視点に立ったホームページづくりがこれから求められてくる、そうした視点に立 つホームページづくりが今後ますます重要になってくると思います。

 市と障害福祉課のトップページに限定して課題を指摘させていただきましたが、全般的に 見て、背景に文字を見づらくしている壁紙を使ったり、改善すべき点は多々見受けられます。行政のホームページは、すべての市民にとって利用しやすいという ことを第1に考えるべきとの視点に立って考えれば、改善は決して難しいことではないと思います。背景に凝ったり、見ばえを重視することは、行政のホーム ページにおいては全く必要ありません。色覚に障害のある方のために、色使いにちょっとだけ配慮する、画像には必ず代替テキストをつける、これだけでアクセ シビリティは格段に向上します。

 また、これは申すまでもないと思いますが、ただいま指摘させていただいたことについて、改善するために新たに費用を必要とすることは1つもありません。すなわち、できるかできないかではなく、やるかやらないかの次元で話をさせていただきました。

 ここまでは主に視覚障害者、色覚障害者にとってのアクセシビリティについて述べさせていただきましたが、身体障害者のアクセシビリティを考えた場合は、さらに検討すべき課題が出てきます。

 視覚障害者にとっては、1ページにできるだけ情報を盛り込んでくれた方が利用しやす い、つまり行間を詰めて、できるだけ1ページの文書をふやした方がよい。これに対して身体障害者、特に上肢障害者にとっては、リンクされた次のページに進 むためには、行間を広くとってもらった方がポインターを合わせる上で利用しやすい。つまり、1ページの文章の量は少ない方がよいという双方矛盾する要求も あります。

 こうした点も考えあわせて、だれにとっても利用しやすいホームページをどうやってつくっていくのか。これは頭で考えるほど難しいことではないと思います。実際に利用する市民から意見を聞くことで実現できるはずです。

 話は少しそれますが、歩み寄りの2センチという言葉があります。国のバリアフリー歩道 の構造基準では、車道と歩道の境界部分の段差は2センチとされています。車いすの利用者にとっては段差はない方がよいのだけれども、視覚障害者にとって は、段差がなくなければ車道との境界が識別できなくなるため、かえって危険となる。双方矛盾する要求を満たしたユニバーサルデザインを考えた際に導き出さ れた妥協点が2センチということなのですが、実際には、車いす利用者の側にとっては、2センチのギャップは絶望的なバリアになることもあります。

 船橋市では、視覚障害者、身体障害者双方の意見を聞くことによって、歩車道境界の ギャップは1センチでも可能だとの結論を得て、これを船橋のバリアフリーの標準とすることにしたと伺いました。よく、相手の立場に立って考えるということ が言われますが、実際には、言うほど簡単にできるものではありません。ウェブアクセシビリティの取り組みについても、まず実際に利用している市民から広く 意見を聞くことから始めるべきと考えます。せめて船橋市ホームページのトップページ、それから障害福祉課のトップページぐらいはアクセシビリティに配慮し たページとして、他の自治体からも模範と言われるようなページづくりを目指してみてはいかがでしょうか。

 以上、指摘させていただきました点についてどのようにお考えなのか、ご見解をお伺いして1問とさせていただきます。

市長公室長(川崎秀夫) ホームページのアクセシビリティ、高齢者や障害者などへの配慮及びその対応についてお答えします。

 市のホームページは、平成9年3月に開設し、14年4月に全面的なリニューアルを行っております。

 そのリニューアルの際に、1、より多くの市民に情報を提供することを目的にわかりやす い内容の掲載に努める。2としまして、個人情報の保護に十分配慮する。3としまして、情報バリアフリーに配慮する。4としまして、利用者のパソコンやOS の種類に依存しないなど、6項目の遵守事項に定めたホームページの作成基準を作成いたしました。

 現在、この作成基準をもとに各課でホームページの作成及び管理を行っており、総ページ 数は約6万ページで、年間アクセス件数は約80万件と、多くの方に利用されております。また、ホームページの運用に当たり、庁内の調整や担当課だけでは解 決できない問題、新しい技術の導入などを話し合う場として、各部の代表者からなる船橋市ホームページ運営委員会を設けております。

 まず、ご指摘の代替テキストと月日のスラッシュ、壁紙、文字間のスペースですが、先ほどの作成基準の中でも遵守すべき事項としております。このことから、早急にホームページ運営委員会などを通して各課へ周知を図り、全ページの調査と修正を実施してまいります。

 また、文字拡大ソフトですが、議員ご指摘のとおり、このソフトは、ウィンドウズでかつ バージョン5.5以上でないと作動しません。このことは、作成基準の遵守項目に合致しておりませんが、1つとして、このソフトが利用者側にソフトのインス トールや特別な操作が必要ないなどすぐれたソフトであること、2として、普及しているパソコンの大半がウィンドウズであること、(「そんなことないよ」と 呼ぶ者あり)3として、エクスプローラバージョンアップが無償で行えること、4として、費用が安価であることから導入したものであり、ご理解いただければ と思います。

 最後に、検討課題として挙げられている、だれにとっても利用しやすいホームページをど のようにつくっていくかについてですが、JISの設計指針に従えば、すべての人に適したホームページになるとは考えておりません。議員お考えのとおり、利 用者の状況を知ることが1番大切であると考えております。現在、メールなどにより利用者から意見を聞いておりますが、今後さらにアクセシビリティを向上さ せ、情報のバリアフリーを徹底するため、障害福祉課など、担当課と協力して視覚障害者や身体障害者の意見を吸い上げ、ホームページ運営委員会に諮り、全庁 的に取り組んでいきたいと考えております。

 今後とも、トップページや障害福祉課のページはもとより、市のホームページ全般にわたりまして、利用者の視点に立った見やすくわかりやすいホームページづくりを目指し、随時改善・充実に努めてまいりますので、ご理解のほどお願いします。

角田秀穂議員  市のホームページについてなんですけれども、今指摘させていただいたもののうちの幾つかは、この議会 で指摘する以前に、もう既に改善がなされております。非常にすばやい取り組みで、改善いただいてありがたいと思っているんですけれども、指摘を受けて、や ろうと思ったらやれることばかりをただいま指摘をさせていただきました。視覚障害者や身体障害者の意見を吸い上げ、全庁的に取り組んでいきたいとのご答弁 でしたが、ぜひとも利用しやすいホームページの取り組みの推進をお願いしたいと思います。

 本市では既に、平成14年にリニューアルした際に作成基準をつくっているということで したけれども、ただいま指摘した事項もその中で遵守すべき事項とされているとのことですが、それが遵守されていないから今回の質問になったわけです。より 利用しやすいホームページづくりについて、ここで1点だけ要望させていただきたいと思いますが、ただいまのご答弁の中で、メールなどで利用者から情報、意 見を聞いているとのことでしたが、利用者からの意見をより多く募るために、現在、各課のページに置いてあるホームページの作成基準、そのページへのリンク をトップページに掲げること、それとともに、気づいた点について意見を募る旨を明示することを検討いただきたいと思います。

 日々更新され、新たなページが加わっていく中で、基準どおりに作成されているかどう か、すべてについてチェックすることは無理があろうかと思います。利用者から、気づいた点も含めて意見を積極的に募っていく努力も欠かせないことだろうと 思いますので、この点についてはぜひともご検討いただきたいと思います。