平成14年第1回船橋市議会定例会会議録(第5号・5の1)

角田秀穂議員 高齢者福祉について伺います。

 まず、新年度の新規事業に関して、2点お伺いをさせていただきたいと思います。

 まず1点目として、高齢者福祉タクシー事業についてですが、これまで要介護度4、要介護 度5の方に限られていた福祉タクシーの対象者を要介護度1以上の方すべてに拡大するものですが、これによる対象者の増加を14年度はどの程度見込んでいる のか。それから、要介護度1、2の高齢者に対する支給を年間12回とした考え方についてなのですが、今回の対象拡大で要介護度3の方は、要介護度4、5の 方と同様、何回でも利用できるわけですが、要介護度1、2の方については、なぜそうしなかったのか。外出する機会は要介護度の低い方の方が多いと思いま す。財政的な理由が最も大きいのかとも思いますが、1,200円限度の半額助成のわけですから、それほど利用が急激に伸びるとも思われません。外出する機 会の多い方がより多く利用できる制度であるべきと考えますが、この点についてなぜ年間12回なのかについて、ご見解をお伺いしたいと思います。

 続きまして、2点目として、徘回高齢者家族支援サービス事業について。これまで議会にお いても何度か議論がなされ、一昨年の第3回定例会において、私自身取り上げさせていただきました。全国で現在160万人程度、高齢者人口の増加に伴って、 ピーク時には300万人、後期高齢者の実に4人に1人が痴呆になると推計されている中で、痴呆性高齢者の方、またその方を介護する家族の支援策の充実が叫 ばれております。今回創設された支援サービス事業、PHSを利用した探索サービス事業の導入は、徘回行動を伴う痴呆性高齢者の早期発見と保護、さらには家 族の負担の軽減を図る上で大変有効なサービスではないかと思います。

 本市において、既に立ち上げられている徘回高齢者の早期発見のためのSOSネットワーク もありますが、以前の議会でも紹介しましたが、そうした網にもかからず、警察にも依頼し、周辺の駅などに本人の特徴などを知らせて捜索への協力依頼をした にもかかわらず、10時間以上も家族が探し回るというケースも実際にあったわけです。その間の家族の方の不安、心労は大変なものでした。

 市民にとって利用しやすい制度となることを望むものですが、ここではこの事業の具体的な 中身について伺っておきたいと思います。対象者や助成の内容、どの範囲までをこの事業で助成するのか。例えば、この事業を全国に先駆けて導入した東京都江 戸川区の場合、江戸川区では徘回高齢者探索サービス事業と名付けておりますが、専用端末の無償貸し出しと探索システム利用料の約7割を助成するという内容 となっておりますが、本市の場合はどのような助成を行われるのかについてお伺いをいたします。

 高齢者福祉に関しまして、最後に、入院おむつ代の助成についてお伺いをいたします。

 常時、おむつが必要な高齢者に対する支援については、居宅介護の場合ですと、要介護度4 か5の認定を受けており、本人が住民税非課税という要件を満たしていれば、家族介護者を支援する目的で、紙おむつ等の介護用品が支給をされます。医療機関 に入院した場合には、介護保険適用の病床であれば、おむつ代も保険の対象として報酬に包括されて、施設に支払われることになりますが、介護保険の適用の病 床が極めて少ない現状から、医療保険病床にとどまっていなければならない方がかなりいらっしゃいます。医療保険ではおむつ代は保険の適用の対象外ですか ら、こうした方は月額数万円の負担を強いられているという現状があります。

ちなみに前年度末現在の近隣市を含めた介護療養型医療施設指定状況を見てみますと、船橋市 内の指定病床数は37床しかありません。周辺を探してみますと、千葉市が220床、鎌ヶ谷市が452床、八千代市が96床などとなっておりますが、どこに 問い合わせても、最低でも2カ月待ちです。また、半年から1年ぐらい待ってもらうようですねというような返事が返ってまいります。

 こうしてやむなく医療保険のベッドにとどまっている方も含めた入院高齢者に対する支援策 としては、船橋市入院老人おむつ代の助成に関する規則により、月額1万9500円を限度におむつ代の助成が受けられる旨、規定されているのですが、同規定 の第3条、助成の要件は、「市内に住所を有する者であって、本人又はその扶養義務者においておむつ代を支払うことが困難なものと」、ほかのケースに比べ て、助成を受けるにはかなり厳しい制限が設けられております。結果として助成制度の利用者が1月当たり8人にとどまっております。

 繰り返しになりますが、おむつが必要な高齢者が在宅の場合、要介護度4か5で本人が住民 税非課税であれば、月額6250円を限度に紙おむつ等の支給を受けられます。病院に入院している場合、介護保険適用のベッドであれば、おむつ代も保険が適 用される。この場合、月額8,600円余りですが、これに対して、受け皿がなく、やむなく医療保険ベッドにとどまっている高齢者については、月額1万 9500円の助成だといいながら、本人はもとより扶養義務者——この場合、民法でいう扶養義務者、すなわち直系の血族と兄弟姉妹になるのでしょうか、これ らすべての人がおむつ代を払えないと認められなければ、実際に助成を受けられない制度となっております。早急な改善が望まれると考えますが、この点につい て、入院老人おむつ代助成に関する規則の見直しについて、ご所見をお伺いいたします。

福祉サービス部長(飯島和男) 高齢者福祉についてのご質問にお答えいたします。

 初めに、高齢者福祉タクシー事業についてでありますが、高齢者福祉タクシー事業の対象者 の拡大につきましては、要介護4・5の方から要介護1から3の方にまで拡大した結果、実利用者数は現在の50人から2,000人以上に増加するものと見込 んでおります。次に、要介護1、2の方を制限した理由でございますが、要介護3以上の方に比べ、要介護1、2の方は他の交通機関を利用しやすいこと、また 制限なしで実施した場合どのくらいの利用があるのか、見込みが難しいことから制限をいたしたものでございます。

 次に、徘回高齢者の家族支援サービスについてお答えいたします。事業の内容といたしまし ては、まず対象者でございますが、徘回のおそれのある痴呆性高齢者の方であれば、所得制限は設けないことといたしました。次に、利用者に対しましては、加 入料と月々の利用料を助成することで、利用の促進を図ってまいりたいと考えておりますが、具体的な助成額としまして、1万円の加入料につきましては全額助 成いたします。月々4,500円の利用料につきましては、住民税課税世帯には3,000円を助成いたします。助成率は67%でございます。次に、住民税非 課税世帯にあっては、4,000円を助成するものとし、この助成率は89%でございます。本市におきましても、事業全体の助成率は7割以上になるものと見 込んでおります。

 次に、入院おむつ代の助成についてお答えいたします。入院おむつ代の助成事業でございま すが、医療機関に入院している高齢者のうち、本人及びその扶養義務者がおむつ代を支払うことが困難な場合、月額1万9500円を制限に助成するものでござ います。現行の要件は、本人及び扶養義務者の所得を対象にしており、その所得制限は生活保護に準じた基準となっているため、高齢者福祉事業の中でも一番厳 しい条件となっております。ご質問者のおっしゃることも理解できますので、今後他市の状況を調査する等、研究してまいります。

角田秀穂議員 入院おむつ代の助成についてはこれから研究するということですけれども、昨年の第2回定例会において、介護 する家族の負担は同じなんだけれども、高齢者であれば助成が受けられ、障害者は同様の助成が受けられないことは不公平であるとの観点から、経済的な負担軽 減を図るために、高齢者に対するのと同様の助成制度の実現を要望させていただきました。これに対する答弁は、障害者の意見を聞くなどして研究してまいりた いということでしたが、高齢者福祉課の研究とあわせて、こちらの方の研究もさらに進めていっていただきたいと要望をさせていただきます。