平成13年第4回船橋市議会定例会会議録(第6号・2-1)
●角田秀穂議員 緑豊かなまちづくりについてお伺いをいたします。
緑の役割について、都市の環境の保全、防災、良好な景観の形成、また市民の憩いの場、さ
らには健康づくりの場としてなど、重要な役割を数多く担っていること、またその緑が特に都市部において急速に近年減少していることは、改めて申し上げる必 要もないと思います。昭和60年から10年の間において、首都圏においても1万ヘクタールの緑が失われたとも言われております。
このような貴重な緑の保全に向けては、福祉と緑の都市を宣言した本市においても、既に各種の取り組みがなされているところでありますが、果たしてそれのみで将来にわたって市民の貴重な財産となる緑の保全が可能なのかという視点から、まず幾つか質問をさせていただきます。
まず、本市における緑の現状について。
基本計画を見ますと、本市は首都圏にありながら、海、川、緑といった良好な自然に恵まれ
ていると分析をしておりますが、果たしてそう言えるのかという点に関して、市域における樹林地や農地、公園等の緑の割合を示す指標である緑被率の現状と、 これまでの推移についてどのように把握しているのかについて、まずお伺いしたいと思います。
基本計画では、現在の数値としてこの緑被率約36%という数字を挙げておりますが、最新
のデータはどうなっているのか。そもそも把握をされているのか。例えば、毎年ではないにせよ、定期的に測定しているのかどうか。また、そうした現状につい て、船橋市を緑に恵まれた町と本当に表現できるのかどうかについて、ご所見をお伺いしたいと思います。
緑の保全に関する施策として、本市では平成9年に策定した緑の基本計画に沿って、大きく公園緑地の整備、緑と水のネットワーク形成、緑化の推進、自然林等の保全対策の4つの施策の推進を図っているところですが、次にこの基本計画に沿って幾つかお伺いをいたします。
その前に、基本計画の市民の周知について、これは以前の議会でも先番議員が指摘されてい
たかと思いますが、こうした市の施策の大もととなる計画については、こうした緑の計画に限らず、広く市民にPRし、周知を図る努力が必要であると思いま す。市のホームページに掲載するということで質問が出ていたかと思いますが、これについてはどのように検討されているのか、まずお伺いしておきたいと思い
ます。
そして、基本計画の中身について、まず公園整備についてですが、都市公園面積を、基本計
画の中においては平成27年度、2015年には市民1人当たり9平方メートルにすることとしており、中間の目標として12年度に3.2平方メートルとの目 標を設定しておりますが、現在、現状としても1人当たりの都市公園面積は3平方メートルにも達していない状況にあって、この将来目標である9平方メートル
の目標を達成していくとなると、人口55万人として、あと三百数十ヘクタール、アンデルセン公園十数個分に相当する面積の公園をどうやって市内に満遍なく 整備していくかということになるんですが、こうしたことをお聞きしても、分母である人口が半分になれば達成できるかもしれないとか、そういう切ない議論に
だんだんなっていきそうなので、ここではあえて具体的にはお伺いしませんが、いずれにしても、実現はかなり厳しいのではないかと思います。
過去の議会、平成11年の3定だったと思いますが、市長は当面の目標として、現状の2倍
という決意を示されました。まず、ここに向けて整備を進めていくことになろうかと思いますが、その際、地域の住民が利用しやすく、また、住民要望も強い街 区公園、地区公園、近隣公園の整備が最も急がれなければならないと考えますが、今後の整備についてはどのようなお考えに立ち整備を進めていくのか。整備を
進める地域と、具体的に答えられることがあればご答弁をお願いいたします。
次に、緑化の推進についてですが、まず緑の保存と緑化の推進に関する条例の運用状況についてお伺いします。
同条例では、事業者等との間で保存樹林等の保全協定を締結できる旨規定しておりますが、
こうした取り組みによってどれだけの緑が保全されたのか。これまでの協定の締結状況、要請したが、協定締結に至らなかったケースはあるのか。あるとすれば どのようなケースがあるのか、お答えいただきたいと思います。
緑化の推進に関連しまして、現在、坪井、葛飾、東船橋に限られている緑化重点地区指定を他の地区にも拡大するお考えはあるのかどうかについてもお伺いしたいと思います。
また、本年5月の都市緑地法改正により、都市における緑地の適切な保全と効率的な緑化の
推進を図るため、里山の利用・活用の減少、土地所有者の高齢化による貴重な緑地の荒廃を食いとめるため、協定に基づいて地方公共団体あるいはNPO等が所 有者に代わって緑地を管理する管理協定制度と、屋上緑化を初め、空き地等での緑化施設の整備に対して、税制上の優遇措置を講じる緑化施設整備計画認定制度
が創設されました。緑の保全に向け、本市においても積極的に導入していくことを検討すべきではないかと思いますが、この導入について具体的なお考えがあれ ばお伺いをしたいと思います。
●都市整備部長(阿部幸雄) 緑豊かなまちづくりについての幾つかのご質問にお答えいたします。
まず初めに、緑被率の推移の把握方法でございますけれども、平成3年度と平成8年度に土
地利用現況調査を実施しております。また、この土地利用現況調査のほかに、平成3年度には市内のまとまった300平方メートル以上の樹林地を対象として、 「ふなばしのみどり2001計画」調査でも行っており、この調査では樹林地の保全方策の考え方から、樹林地を5つに区分いたしまして、緑地保全方策の判断
基準に役立つものとなっております。
緑の基本計画策定時におきます緑被率の分析では、平成3年度時点の約36%の数値が基礎
となっておりますけれども、平成8年度の調査結果では約31.3%と、4.7%も減少しております。この結果からも、緑の減少傾向がさらに進んでいると思 われますけれども、このような現実がある中、船橋市を緑に恵まれた町と言えるのかとの難しいご質問をいただいたところでございますけれども、今後の緑の保
全・創出の施策に積極的に取り組んでまいります。
続きまして、緑の基本計画につきましては、平成9年10月に広報ふなばしで市民の皆様へ
公表して以来、積極的なPRを行っておりませんでしたが、このため、昨年も市議会本会議でご提案がありまして、市のホームページに掲載すべく準備を進め、 本年度の早い段階で掲載内容の検討を終えておりました。しかしながら、市の事務事業全般にわたりホームページを再構築する方向となりましたことから、緑の
基本計画に限定せず、より充実した内容でのホームページとすべく構成の見直しを行っておりまして、来年の4月にはホームページに掲載できる予定となってお ります。
次に、基本計画で示します整備目標、そして具体的な整備の考え方でございますけれども、
ご指摘のように、基本計画での整備目標は、現実的には達成が非常に厳しいところでございます。このため、市長が表明しております当面の目標でございます現 状の2倍、1人当たり5平方メートルを目指し、公園緑地の整備を推進しております。
この中で、身近な公園整備の基準といたしましては、市内23コミュニティ、54地区別の
1人当たりの公園整備状況を基本に考えておるところでございます。その上で、公園が不足しております既成市街地の住宅密集地をできる限り優先し、また地区 ごとの条件なども勘案しまして公園整備計画を立てております。財政状況が極めて厳しい中、国庫補助金等の財源確保、遊休国有地の活用など、積極的に整備を
進めておりますので、議会におきましてもご支援、ご協力をお願いいたす次第でございます。
緑化協定に関しますご質問でございますけれども、船橋市緑の保存と緑化の推進に関する条
例に基づきます保存樹木等保全協定の締結状況は、条例を制定いたしました昭和48年から平成12年度末までの累計で約1,800件、これにより確保されて います緑地面積は、およそ115ヘクタールになります。なお、この中には平成7年に施行されました環境共生まちづくり条例の規定に基づく協定の分も含まれ
ております。
緑化協定の締結に至らなかったケースはあるかとのことでございますけれども、ほとんどす
べての事業者とは協定を締結しております。現在協議中の案件で、郊外型の大規模な店舗のため、必要緑地面積を確保しますと駐車台数が不足するとのことか ら、引き続き協定締結の指導を行っている案件がございます。この事例のように、郊外型店舗などでは駐車台数を確保した上で緑地面積基準をクリアするため、
事業者の設計担当者は相当苦心されております。
次に、緑化重点地区の拡大の問題でございますけれども、緑の基本計画における緑化重点地
区の基本的な考え方は、都市の顔となる地域で、かつ緑化を重点的に推進すべき地区となっております。本市におきましては、JR船橋駅周辺が中心的な地域で はございますが、具体的に緑化を重点的に推進するためには困難な点も多く、JR総武線に沿いました緑の東西軸のエリアに含めた上で、葛飾緑化重点地区と、
大神宮周辺の東船橋緑化重点地区、そして東部地区におきます坪井緑化重点地区を定めたいきさつがございます。この緑化重点地区は、緑の基本計画の中で位置 付けた地区でございまして、見直しには緑の基本計画そのものから見直す必要がございます。
最後に、都市緑地保全法の改正に伴いまして創設されました管理協定制度と、緑化施設整備
計画認定制度の導入の考え方でございますが、まず管理協定制度でございますけれども、都市緑地保全法に基づきます緑地保全地区として都市計画で定められま した地区が対象となります。本市におきましては、現在、緑地保全地区を定めた地区がございませんので、まだ検討中の段階でございます。
次に、屋上緑化や空き地等での緑化施設整備計画についての認定制度でございますが、この
制度は緑の基本計画に定める緑化重点地区内において、敷地面積が1,000平方メートル以上で、緑地割合が20%以上の計画が認定の対象となるところでご ざいます。認定を受けますと、当然、緑化施設について固定資産税、都市計画税が5年間減免されるものでございますが、認定要件の制約が多いため、現在のと
ころ申請は受けておりません。しかしながら、要件に該当する計画についての申請受理、認定の事務処理体制の整備や本制度のPRなど、早期に関係部局と協議 いたしまして、協議してまいります。
●角田秀穂議員 緑豊かなまちづくり、5年間で緑の量が4.7%ですか、毎年1%近くずつ確実に減少しているというこ
とでございました。一昨日の先番議員の質問で、スズメバチの増加に行政としても対処すべきではないかという議論がありましたが、これは全国の、特に都市部 においていわば共通した問題と今なっているわけですが、増加の要因としては、本来スズメバチがすんでいたところに人間が住むようになった。また、本来のす
みかを追われたスズメバチが人間の生活圏に下りたという両面、さらには生態系の変化などの要因が加わってのことと言われております。いずれにしても、その 原因となっているものは、人間の活動、開発等によって緑が失われたことが大きな要因であることは間違いありません。ハチに刺されたことによって死亡する、
命を落とす方も全国的に見ても年々増加しており、その現実に対して、今までどおりに民地の場合は業者を紹介するから、自分で何万円かを払って駆除してくだ さいというような態度をとり続けるということは、もはや許されなくなっていると思います。結果として、財政支出を増大させる方向に働いていくでしょう。
これは、このスズメバチの例はあくまで一例ですが、いずれにせよ、緑が失われることに
よってもたらされるデメリットは予想しがたいことを十分に踏まえ、まずまちづくりに責任を持つ行政が、緑が急速に失われていくことにもっと敏感になって取 り組みを考えていくべきだと思います。
本市が目指している中核市への移行、これが実現しますと、全国の中核市という1つのクラ
ブの中にあって、船橋は社会資本の充実度において明らかに見劣りする存在となります。とりわけ下水道、都市公園の整備状況、1人当たりの面積という数値で 見た場合、最下位か最下位から2番目、いずれにしても一番最後の方になってしまいます。
下水道計画の場合には、目標達成までの道筋が大体見えている。処理場はありますし、パイ
プを布設するルート、公道の位置も決まっていますから、財政状況によってペースがおくれたり、また逆に早まったりすることはあっても、それによって、おく れたからといって幹線を布設するルートがなくなってしまったとか、そういうことはありませんので、下水道の場合は概成までの道筋が計画を見ても大体見えて
おります。
それに引きかえ緑の計画というのは、先ほどのご答弁にもありましたけれども、間違いなく
失われ続ける緑との、言ってみれば時間との戦いという点で大きく異なってくると思います。手をこまねいて計画の進捗がおくれれば、確保すべき緑そのものが なくなってしまう。結果として、目標の達成が永久に不可能になることもあるという意味からも、そういった意味からも緑の計画というのは、下水道の計画など
とは大きく違っていると思います。
現状の正確な把握から出発して、将来達成すべき具体的目標と、そのための実現可能な道筋
を示すのが基本計画であると思うのですが、ただいまの答弁も踏まえ、緑の基本計画を眺めたとき、目標達成の道筋というものが明確に見えてまいりません。平 成9年策定のこの計画を見直し、真に実現可能な計画に練り直すべき時期に至っていると考えます。
今議会にも関連する条例が提案されておりますが、都市計画法の改正によって市街化調整区
域においても市街化が進む、開発が進むことになります。緑の保全という観点に立てば、緑の減少に間違いなく拍車がかかることを意味しております。そうした 状況の変化に対応する意味でも、早急に計画の見直しを行い、真に次代に引き継げる緑の確保に真剣に取り組むべきと思います。まず、この計画の見直しという
ことについてどのようなご見解をお持ちか、お伺いしたいと思います。
こうしたまちづくりの計画は、その策定の費用だけでも数千万円ぐらいかかるとされており
ます。緑の計画についても、市内全域の自然環境、その他に関する基礎的な調査からスタートしなければならない。そのために、やはりそれぐらいの費用がか かってしまうと予想されますが、本市の場合は緊急地域雇用特別交付金事業として、環境マップの作成が進められております。この事業では、環境保全施策の基
礎資料の整備を図ることを目的に、延べ6,000人以上の方が参加をして、市内全域で樹林地の調査、その評価を含む本格的な調査を実施し、現在この結果を もとに環境マップの作成作業が進められております。
この事業そのものも、やはり他の自治体でも例を見ないユニークな事業、なおかつ極めて意
義のある事業であると思います。今、緑の基本計画の計画を見直すというのであれば、こうした事業の基礎データを、事業の成果を活用できるわけですから、こ うしたタイミングを考え合わせても、計画の見直しを行うのは今ではないかと思います。この点も含め、次代に引き継ぐ緑の保全に向けた新たな計画策定に対す
るお考えをお伺いしたいと思います。
あともう1点、今後見直すこの計画に関して、緑の保全を考える上で公による整備と管理で
は、緑の保全はやはりなかなか進まないのではないかと思います。行政、住民、そして民間事業者との協働をこれからいかに築いていくかが重要な課題になって くると思われます。そのためには、まず何よりも計画策定段階から住民の参加を促していくことが重要と考えますが、この点についてもどのようにお考えになっ
ているのか、ご見解をお伺いしたいと思います。
●都市整備部長(阿部幸雄) 再質問にお答えしたいと思います。
緑の基本計画の見直しについてでございますけれども、市街化調整区域の緑地保全施策をどのように行っていくかが大きな課題となっております。
先ほどお答え申し上げましたところでございますけれども、市街化調整区域内の緑地保全策
として、緑地保全地区制度の活用など、早期に対応すべき段階に来ておると考えております。緑の基本計画見直しにつきましては、おおむね5年から10年ごと に見直すこととされており、状況の変化に対応するためにも見直しに着手すべき時期に来たのではないかと考えておるところでございます。
また、計画段階からの住民参加の問題につきましても、緑の基本計画策定に当たりましては、住民の積極的参加がうたわれておりますので、見直しを行う場合には住民参加を求めて計画策定を進めていく考えでございます。
緊急地域雇用対策事業で行っております環境マップ活用のご提案でございますけれども、こ
のマップ作成に当たりましては、私どもから担当課へ樹林調査をあわせて実施していただくようお願いしたものでございまして、その調査方法も、初めにお答え 申し上げました「ふなばしのみどり2001計画」とのデータ比較ができるよう調査を進めていただいております。このことからも、緑の基本計画見直しの際に
は、この貴重な樹林地調査のデータは積極的に活用してまいります。