平成13年第3回船橋市議会定例会会議録(第3号・5)
●角田秀穂議員 介護保険について質問をさせていただきます。
昨年4月に介護保険制度がスタートした際、新制度移行による激変緩和の措置として、サー
ビスを利用することができる1号被保険者について、制度スタート後半年間は保険料を納めなくともよいこととされ、その後1年間は、本来納めるべき保険料の 半額を徴収するという特別措置が講じられてきましたが、その特別措置の期間が終わり、10月から保険料の満額徴収が始まります。これに伴って、昨年10月
の半額徴収開始のときにも見られたような、市民からの苦情等がかなりふえることが予想をされます。特に今年度は、1号被保険者にとっては、結果として昨年 度納めた保険料の3倍を支払うということになりますので、その負担感も大きいと言えます。満額徴収に向け、制度の十分な理解を求めることが極めて重要であ
ると思いますが、まずこの点に関しまして、広報活動を含め、これまでどのような取り組みを行ってきたのかについてお伺いします。
また、それに対する被保険者からの苦情や要望などが市に寄せられているかどうか。寄せられていれば、具体的な内容についてもお教えいただきたいと思います。
1号被保険者の保険料の満額徴収に伴って、被保険者の負担が増加する結果、特に低所得者
がサービスを利用できない、あるいは利用を控えざるを得ないといった事態がふえることも当然予想されます。このため利用料、保険料の両面から、特に低所得 者に対する負担軽減策を早急に講じていくべきと考えます。この点について、幾つか質問をさせていただきます。
まず、利用料についてですが、前議会、第2回定例会において、低所得者に対する在宅サービスの利用料の一部助成を検討する旨の答弁がありましたが、その具体的な検討状況について、対象者や対象サービス、助成の方法、実施時期をどうするのかについてお伺いをいたします。
また、保険料については、1号被保険者の保険料徴収が始まった昨年10月より減免措置が
講じられておりますが、まずこの保険料減免について、現在まで申請人数に対して減免が認められた方が何人いるのか、1号被保険者に対する割合はどの程度に なっているのか、運用の現状についてお伺いしておきたいと思います。
この減免制度については、保険料の減免を受けようとする場合には本人が申請をしなければ
ならず、収入のほか、預貯金など資産等の状況を総合的に判断して決定することとなっておりますが、この方法ですと、資産状況の調査についても本人からの聞 き取りにより行われておりますので、不公平を生む懸念が残ります。低所得者の保険料負担軽減の方策としては、減免のほか、6段階に設定して、第1段階、第
2段階の保険料を5段階の場合より低く抑える方法も行われております。実際に6段階に設定している自治体は全国でもまだ少ないのですが、流山市では、5段 階の場合に基準額の0.5倍となる第1段階を0.3、同じく0.75倍となる第2段階を0.7と、いずれも5段階よりも負担を少なくしております。また、
横浜市のケースでも、第1段階が基準額の0.25倍、第2段階が0.65倍で、特に第1段階の負担を5段階の場合の2分の1に抑えております。減免による 負担の軽減ということに比べ、介護を社会全体で支え合うという制度の趣旨に照らして考えても、当然に検討されてしかるべきと考えます。
昨年10月から1号被保険者の保険料の徴収を開始して1年が経過することになりますが、
これに伴って、1年以上保険料を滞納しているという方が当然出てきます。保険料を1年以上滞納している場合には、保険給付の償還払いか、保険からの給付分 も一たん自分で負担しなければならなくなるという事例も出てくることが予想されます。保険料を払わないことにより、サービスを受けるのに大きな負担を強い
られることになるということが起きないようにするためにも、特に低所得者に対する保険料負担の軽減策を早急に講じていく必要があると考えます。既に6段階 の保険料を導入している自治体では、6段階にすることによって低所得者の負担軽減につながり、理解を得られやすい。結果として、収納率の向上に結びついて
いると考えられるといったメリットが指摘されております。6段階設定による保険料の負担軽減については、過去の議会でも提案されておりますが、ここで再 度、その導入を要望し、ご見解をお伺いしたいと思います。
それから、1号被保険者に対する保険料の特別措置は新しい制度移行に伴う激変緩和措置で
あり、特に介護基盤の充足率が全国的に見て全体で4割にとどまるなど、保険あってサービスなしといった事態に陥るおそれが極めて大きかったことからとられ た措置でありました。この特別措置の期間中に不足する介護基盤の整備を進めることが全国的にも大きな課題であったわけですが、この点に関して、制度開始か
らこの間の本市における基盤整備についてどのように評価しているのか、お伺いしたいと思います。
特に制度開始以来、不足が深刻となっている特別養護老人ホームについて、市立特養完成後
も不足している事態は解消されない。保険あってサービスなしの状態が続くことが最も懸念されております。利用者のニーズにこたえるため、今後最も知恵を 絞っていかねばならない課題だと思いますが、市としてどのように整備を進めるお考えなのかについてお伺いして、1問とさせていただきます。
●保健福祉部長(川村良一) 介護保険についてのご答弁を申し上げます。
10月から第1号被保険者に対する保険料が本来の額を徴収することに対してのPRでござ
いますが、40地区における出前講座と地元説明会の中で説明を行ってまいりました。また、全校配布しましたチラシにも全額徴収の保険料を記載し、介護保険 課で作成しました介護便利帳の中でも全額徴収の説明を掲載したところであります。8月には、国より啓発ポスターの配布がありましたので、各出張所、公民
館、介護施設における掲示等をし、市民の皆様へのPRに努めてまいりました。市広報への保険料の特集を含め3回掲載いたしておりますが、これからも10月 15日号に市広報への掲載をするなど、PRに努めてまいります。
また、苦情や要望などはということですが、負担が大きく、かなり大変であるという話は寄
せられておりますが、その他の苦情や要望はございません。しかしながら、10月に実際に徴収開始になってから苦情や要望が寄せられることも予想されますの で、電話応対による職員体制など、万全を期すよう努めてまいります。
次に、前議会で答弁しました事業料助成の検討状況についてということであります。まず最
初に、類似団体及び近隣市の実施状況についての情報収集を行いました。その後、この情報をもとに、先進市であります川崎市や横浜市に調査に出向き、具体的 な内容を細部にわたり情報を集めているところでございます。これからは対象サービスをどこまで拡大するか、対象者の範囲はどうするか及び実施方法等につい
て、平成14年度導入に向け、具体的な検討を進めてまいります。
次に、保険料の減額状況についてでありますが、まず12年度の減額状況からお答えいたします。申請が193件ございまして、そのうち減額対象の方は約半数の95件であり、対象とならなかった方は98件であります。
次に、13年度の状況でありますが、本年8月末の時点で申請が116件、現在審査中のものもありますが、減額対象として確定した方は75件、対象とならなかった方が20件ございます。
次に、保険料を6段階方式にというご質問でございます。平成15年度からの次期財政運営について、14年度に現計画の見直しを行い、新たな計画を立てることになっておりますので、部内でよく研究を進め、検討してまいりたいというふうに考えております。
次に、介護保険の基盤整備の状況についての関係でありますが、介護保険制度が始まった平
成10年度には、特別養護老人ホーム125床、デイサービスセンター3施設、デイケアセンター6施設が整備されております。今年度におきましては、デイ サービスセンター3施設、デイケアセンター1施設が整備され、また特別養護老人ホーム100床とデイサービスセンター2施設が整備中となっております。高
齢者保健福祉計画に対する特別養護老人ホーム等の整備目標達成率は、現在建設中のものも含めますと、特別養護老人ホーム約87%、デイサービスセンター約 85%、デイケアセンター約146%となっており、順調に整備が進んでいると考えております。しかしながら、(予定時間終了5分前の合図)介護サービスの
利用において、施設志向が全国的に進んでおることから、特別養護老人ホームの待機者が予想を超えて多くなり、その対応に大変苦慮しております。
次に、今後の特別養護老人ホームの整備の進め方につきましては、従前のとおり、社会福祉
法人による施設の整備を基本といたしております。具体的には、既存施設の増床は比較的短期間での整備が可能でありますので、現在、市内の社会福祉法人を対 象に増床計画の有無等の調査をしており、必要な対応をとってまいりたいと考えております。
また、平成14年度着工を目指した社会福祉法人による70床の整備計画について県と協議しております。
●角田秀穂議員 介護保険についてですけれども、特に低所得者に対する負担軽減、保険料、利用料両面からの検討というのは、
これは非常に重要な課題だと思います。保険料については14年度に検討するということでしたけれども、現在の計画の期間中であっても見直しは可能だと思い ますので、こういったことはできるだけ早く検討を進めていただきたいと思います。